千葉県立保健医療大学歯科診療室を活用した健康教室(健康増進プログラム)の実践

(緒言) 本学に併設されている歯科診療室は,地域住民のかかりつけ歯科診療所としての役割を担っており,その患者の多くは65歳以上の高齢者である. 新型コロナウイルス感染症の影響により,高齢者の健康を損ねることが懸念されていることから,本学の社会貢献事業として,歯科診療室を活用した多職種連携による健康教室を実施した.本研究では,各プログラムに対する参加者の反応を調べ,歯科診療室を活用した健康増進プログラムの効果を検討することを目的とした.(研究方法) 参加者募集は歯科診療室内のポスター掲示,本学ホームページ掲載により行った.健康教室は2021年11月から翌年2月まで計4回実施し,各回の担当は,第1...

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Published inThe Bulletin of Chiba Prefectural University of Health Sciences Vol. 14; no. 1; p. 1_103
Main Authors 麻賀, 多美代, 細山田, 康恵, 佐藤, 紀子, 岡村, 太郎, 大川, 由一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 千葉県立保健医療大学 31.03.2023
Chiba Prefectural University of Health Sciences
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ISSN1884-9326
2433-5533
DOI10.24624/cpu.14.1_1_103

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Summary:(緒言) 本学に併設されている歯科診療室は,地域住民のかかりつけ歯科診療所としての役割を担っており,その患者の多くは65歳以上の高齢者である. 新型コロナウイルス感染症の影響により,高齢者の健康を損ねることが懸念されていることから,本学の社会貢献事業として,歯科診療室を活用した多職種連携による健康教室を実施した.本研究では,各プログラムに対する参加者の反応を調べ,歯科診療室を活用した健康増進プログラムの効果を検討することを目的とした.(研究方法) 参加者募集は歯科診療室内のポスター掲示,本学ホームページ掲載により行った.健康教室は2021年11月から翌年2月まで計4回実施し,各回の担当は,第1回歯科衛生学科,第2回栄養学科,第3回リハビリテーション学科(作業療法学専攻,理学療法学専攻),第4回看護学科とした. 参加者には健康教室終了時に健康教室についての質問紙調査を実施した.調査では各学科専攻で実施したプログラム内容について,「良かった項目」等の回答(複数回答を含む)を依頼した.(結果および考察) 健康教室の参加者は男性3名,女性10名の計13名で,平均年齢は76.9歳であった.参加回数は4回75% ,3回8.3% ,2回16.7%で,質問紙調査の回答件数は,第1回11件,第2回12件,第31回11件,第4回12件であった. 歯科衛生学科のプログラムでは,口腔機能の測定,オーラルフレイル予防に関する講話および口腔体操を行った.質問紙調査で参加者が良かったと回答した項目は,口腔機能測定の測定ができたこと(100%),オーラルフレイル予防が学べたこと(91%)であった. 栄養学科のプログラムでは,「はつらつ生活のための食事について」の講話と絵カードを用いて昨日の食事内容について確認を行った.良かったと回答した項目では,食事内容の確認により食事を考える機会になった(83.3%)が最も多かった. 作業療法専攻のプログラムでは,「転倒予防について」の講話と低価格で揃えられる転倒予防に繋がる商品の紹介を行った.良かった項目は,転倒予防のための注意点(45.5%),居住する周辺環境を考える機会になった(45.5%)であった. 理学療法専攻のプログラムでは,「いつまでも自分の足で歩きましょう」をテーマにロコモ度測定とロコモ予防トレーニングを行った.良かった項目は,ロコモ度測定ができたこと(100%),ロコモ予防に関する講義(81.8%)であった. 看護学科のプログラムでは,「セルフケアでフレイルを予防しよう」をテーマに講話と日常の健康管理について参加者同士で情報交換を行った.良かった項目は,誤嚥性肺炎について学べたこと(83.3%),参加者と話す機会ができたこと(66.8%)であった. 調査結果より,自分の今の口腔機能や身体機能の状態を知ること,自分自身の生活を振り返る内容,参加者同士の情報交換などが,満足度が高く主体的に学べる内容であったといえる.これらの結果を,今後の歯科診療室を活用した健康増進プログラムの企画に反映させていきたい.(倫理的配慮) 本研究は,本学倫理審査委員会の承認(申請番号2021-24)を得て実施した.(利益相反) 発表に関して申告すべきCOIはない.(謝辞) 本研究を遂行するにあたり,ご協力いただきました,元栄養学科河野公子先生,リハビリテーション学科理学療法専攻江戸優裕先生,同作業療法学専攻成田悠哉先生,そして,歯科衛生学科の先生方に深く感謝申し上げます.
ISSN:1884-9326
2433-5533
DOI:10.24624/cpu.14.1_1_103