核燃料物質の全反射蛍光X線分析

核燃料物質の取り扱いは厳しく制限されており,原則として,非密封状態でフードから持ち出すことができない.一方で,全反射蛍光X線分析法では,試料へのX線の侵入深さが極めて浅いため,試料表面を薄膜等で覆うことができず,非密封状態の試料を用いて分析する必要がある.このため,核燃料物質の全反射分析はこれまでほとんどなされてこなかった.しかし,従来の蛍光X線分析よりも高感度な分析が可能な全反射蛍光X線分析法で核燃料物質の分析を行うための技術を確立しておくことは,様々な施設における核燃料物質の迅速な分析に資することになると期待される.本研究では,可搬型全反射蛍光X線分析装置をフード内に設置して,ガラス基板に...

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Published inX線分析の進歩 Vol. 54; pp. 129 - 137
Main Authors 吉井, 裕, 上床, 哲明, 酒井, 康弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2023
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ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.54.0_129

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Summary:核燃料物質の取り扱いは厳しく制限されており,原則として,非密封状態でフードから持ち出すことができない.一方で,全反射蛍光X線分析法では,試料へのX線の侵入深さが極めて浅いため,試料表面を薄膜等で覆うことができず,非密封状態の試料を用いて分析する必要がある.このため,核燃料物質の全反射分析はこれまでほとんどなされてこなかった.しかし,従来の蛍光X線分析よりも高感度な分析が可能な全反射蛍光X線分析法で核燃料物質の分析を行うための技術を確立しておくことは,様々な施設における核燃料物質の迅速な分析に資することになると期待される.本研究では,可搬型全反射蛍光X線分析装置をフード内に設置して,ガラス基板に滴下したウラン,ネプツニウム,プルトニウムの全反射蛍光X線分析を行った.これらのうち,ウランとプルトニウムは核燃料物質である.厳密な管理のもとに測定を行った結果,全反射蛍光X線スペクトルには明瞭なU Lα線,Np Lα線,Pu Lα線が観測され,その検出下限は,それぞれ1.1,1.1,1.3 ngだった.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.54.0_129