IFRSの任意適用は会計情報の価値関連性に影響を与えるのか

海外企業を対象とした先行研究では,投資家が意思決定を行う際,国際財務報告基準(IFRS)とローカル基準の総額(純資産や純利益)の差異だけではなく,個々の会計基準の差異の影響にも関心が払われることが指摘されてきた。しかし,日本企業を対象にした先行研究では,データ入手の困難性ゆえに個々の会計基準の差異の影響が看過されてきた。そこで本研究では,純資産や純利益だけでなく,日本基準とIFRSの個々の会計基準の差異が,日本基準の会計数値に対して,追加的な価値関連性を有するか否かについても調査する。分析の結果,IFRSと日本基準ベースの純資産の調整額は,日本基準の会計数値に対して,追加的な価値関連性を有さな...

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Published in会計プログレス Vol. 2023; no. 24; pp. 21 - 40
Main Authors 金, 鐘勲, 角ヶ谷, 典幸, 苗, 馨允
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本会計研究学会 2023
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ISSN2189-6321
2435-9947
DOI10.34605/jaa.2023.24_21

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Summary:海外企業を対象とした先行研究では,投資家が意思決定を行う際,国際財務報告基準(IFRS)とローカル基準の総額(純資産や純利益)の差異だけではなく,個々の会計基準の差異の影響にも関心が払われることが指摘されてきた。しかし,日本企業を対象にした先行研究では,データ入手の困難性ゆえに個々の会計基準の差異の影響が看過されてきた。そこで本研究では,純資産や純利益だけでなく,日本基準とIFRSの個々の会計基準の差異が,日本基準の会計数値に対して,追加的な価値関連性を有するか否かについても調査する。分析の結果,IFRSと日本基準ベースの純資産の調整額は,日本基準の会計数値に対して,追加的な価値関連性を有さないこと,IFRSと日本基準ベースの純利益の調整額は,日本基準の会計数値に対して,追加的な負の価値関連性を有すること,また4 つの会計基準(のれん,収益認識,税効果,および減損)は,追加的な正の価値関連性を有することが明らかにされた。
ISSN:2189-6321
2435-9947
DOI:10.34605/jaa.2023.24_21