ウラン汚染コンクリート酸溶出液の模擬試料の全反射蛍光X線分析

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉過程において様々な放射性物質に汚染された可能性のある瓦礫等の廃棄物が発生することが予想される.このうち,ウランは半減期が長いために放射線計測で定量することが困難である.瓦礫表面のウラン汚染を定量する方法として,汚染瓦礫から成分を酸で溶出させた後,誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)により質量分析を行う手法が一般的であるが,有機物除去のために灰化処理を施す必要があり,分析に時間がかかる.もう1つの方法として,試料の灰化が不要な全反射蛍光X線(TXRF)分析法を挙げることができる.本研究では,ウランに汚染されたコンクリートの酸溶出液をTXRF分析する手法につ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inX線分析の進歩 Vol. 50; pp. 185 - 196
Main Authors 吉井, 裕, 伊豆本, 幸恵, 石井, 康太, 松山, 嗣史, 酒井, 康弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.50.0_185

Cover

More Information
Summary:東京電力福島第一原子力発電所の廃炉過程において様々な放射性物質に汚染された可能性のある瓦礫等の廃棄物が発生することが予想される.このうち,ウランは半減期が長いために放射線計測で定量することが困難である.瓦礫表面のウラン汚染を定量する方法として,汚染瓦礫から成分を酸で溶出させた後,誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)により質量分析を行う手法が一般的であるが,有機物除去のために灰化処理を施す必要があり,分析に時間がかかる.もう1つの方法として,試料の灰化が不要な全反射蛍光X線(TXRF)分析法を挙げることができる.本研究では,ウランに汚染されたコンクリートの酸溶出液をTXRF分析する手法について検討し,ICP-MS分析と比較した.標準的なICP-MSによる分析法における検出下限値0.002 ng/mLと比較して,TXRF分析におけるウランの検出下限値1.7 ng/mLはおよそ1000倍となったが,総分析時間はICP-MSの場合の1/3程の約6時間であった.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.50.0_185