高齢者における所得・教育年数別の死亡・要介護認定率とその性差 AGESプロジェクト縦断研究

日本の高齢者における等価所得・教育年数と死亡,要介護認定,健康寿命の喪失(死亡または要介護認定)との関連を明らかにすることを目的とした。協力を得られた6自治体に居住する高齢者14,652人(平均年齢71.0歳)を4年(1,461日)間追跡し,要介護認定および死亡データを得た。Cox比例ハザードモデルを用い,死亡,要介護認定,健康寿命の喪失をエンドポイントに等価所得・教育年数(共に5区分)を同時投入して年齢調整済みハザード比(HR)を男女別に求めた。 その結果,男性では,最高所得層に比べ最低所得層でHR1.55-1.75,最長教育年数に比べ最短教育年数層ではHR1.45-1.97の統計学的にも有...

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Published in医療と社会 Vol. 22; no. 1; pp. 19 - 30
Main Authors 鈴木, 佳代, 近藤, 克則, 三澤, 仁平, 平井, 寛, 芦田, 登代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 医療科学研究所 2012
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ISSN0916-9202
1883-4477
DOI10.4091/iken.22.19

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Summary:日本の高齢者における等価所得・教育年数と死亡,要介護認定,健康寿命の喪失(死亡または要介護認定)との関連を明らかにすることを目的とした。協力を得られた6自治体に居住する高齢者14,652人(平均年齢71.0歳)を4年(1,461日)間追跡し,要介護認定および死亡データを得た。Cox比例ハザードモデルを用い,死亡,要介護認定,健康寿命の喪失をエンドポイントに等価所得・教育年数(共に5区分)を同時投入して年齢調整済みハザード比(HR)を男女別に求めた。 その結果,男性では,最高所得層に比べ最低所得層でHR1.55-1.75,最長教育年数に比べ最短教育年数層ではHR1.45-1.97の統計学的にも有意な健康格差を認めた。一方,女性では,所得で0.92-1.22,教育年数で1.00-1.35と有意な健康格差は認めなかった。等価所得と教育年数の2つの社会経済指標と用いた健康指標(死亡,要介護認定,健康寿命の喪失)とで,健康格差の大きさも関連の程度も異なっていた。 日本の高齢男性には,統計学的に有意な健康格差を認めたが,女性では認めなかった。これは健康格差が(少)ない社会・集団がありうる可能性を示唆しており,所見の再現性の検証や健康格差のモニタリング,生成機序の解明などが望まれる。
ISSN:0916-9202
1883-4477
DOI:10.4091/iken.22.19