後腹膜先行アプローチ(Retlap)による腹腔鏡下先天性胆道拡張症手術

先天性胆道拡張症手術では,遺残胆管による発癌のリスクから膵内胆管の完全切除が望ましい.膵内胆管は膵の背側寄りに位置し,腹腔鏡による腹側からのアプローチでは,胆管腹側の膵実質が視野や鉗子操作の妨げとなる.この問題に対して後腹膜先行アプローチによる腹腔鏡下手術(Retroperitoneal-first laparoscopic approach:Retlap)を考案し,narrow segmentのない戸谷分類Ic型の先天性胆道拡張症の1例に導入した.後腹膜先行操作により膵頭部を授動し,膵背側からの良好な視野で膵実質との干渉の少ない鉗子操作による膵内胆管周囲の剥離と完全切除が可能であった.また後...

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Published inTando Vol. 32; no. 4; pp. 801 - 806
Main Authors 小島, 正之, 杉岡, 篤, 木口, 剛造, 安田, 顕, 宇山, 一朗, 加藤, 悠太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.10.2018
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.32.801

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Summary:先天性胆道拡張症手術では,遺残胆管による発癌のリスクから膵内胆管の完全切除が望ましい.膵内胆管は膵の背側寄りに位置し,腹腔鏡による腹側からのアプローチでは,胆管腹側の膵実質が視野や鉗子操作の妨げとなる.この問題に対して後腹膜先行アプローチによる腹腔鏡下手術(Retroperitoneal-first laparoscopic approach:Retlap)を考案し,narrow segmentのない戸谷分類Ic型の先天性胆道拡張症の1例に導入した.後腹膜先行操作により膵頭部を授動し,膵背側からの良好な視野で膵実質との干渉の少ない鉗子操作による膵内胆管周囲の剥離と完全切除が可能であった.また後腹膜腔にかかる送気圧により膵頭部が腹側に挙上され,膵内胆管剥離の際に安定した術野を得られた.Retlap法は先天性胆道拡張症に対する標準術式となりうる可能性が示唆された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.32.801