外傷性凝固障害と抗線溶療法 : 時を争う病態と治療

外傷患者の急性期死亡原因としての出血はきわめて重要であり, 外傷急性期凝固異常との病態の存在は広く認識されている. そのメカニズムは必ず明確ではないが, 外傷とこれに伴うショックにより惹起される線溶亢進病態であるacute traumatic coagulopathy, 治療に関わる因子が加わり形成されるtrauma-induced coagulopathyがこれらを形成する. 凝固障害の回避と治療であるdamage control resuscitationを根拠に基づき行うことは, 重症外傷に対する中心的治療戦略である. 線溶反応を制御するトラネキサム酸は, acute traumatic...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 27 - 34
Main Authors 工藤, 大介, 久志本, 成樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 12.05.2020
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.34.2_01

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Summary:外傷患者の急性期死亡原因としての出血はきわめて重要であり, 外傷急性期凝固異常との病態の存在は広く認識されている. そのメカニズムは必ず明確ではないが, 外傷とこれに伴うショックにより惹起される線溶亢進病態であるacute traumatic coagulopathy, 治療に関わる因子が加わり形成されるtrauma-induced coagulopathyがこれらを形成する. 凝固障害の回避と治療であるdamage control resuscitationを根拠に基づき行うことは, 重症外傷に対する中心的治療戦略である. 線溶反応を制御するトラネキサム酸は, acute traumatic coagulopathyに対する治療の中心要素のひとつである. 多くの凝固異常対策とともに行うトラネキサム酸投与の有効性と有用性, さらに "時を争う病態と治療" との認識は, 外傷医として求められる臨床課題である.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.34.2_01