右腎下極梗塞とその領域に一致しないZone1後腹膜血腫を呈していた異所性右腎動脈損傷の1例

異所性腎動脈は頻度の高い血管破格だが, 鈍的外傷による損傷の報告は少ない. 今回, 鈍的外傷による異所性腎動脈損傷を経験したため報告する. 24歳男性が, 木片が腹部に当たり受傷した. 造影CTで右腎下極梗塞, Zone1-2に跨がる後腹膜血腫, 右腎動脈本幹より遠位で腹部大動脈から分岐する血管の途絶像を認めた. 血管造影でも同様の血管途絶像があり, 異所性腎動脈損傷と診断したが, 塞栓術は困難で, 十二指腸損傷も合併していたため開腹術により中枢側断端を結紮した. 本症例のように, 腎梗塞部に一致しない局在の後腹膜血腫を認めた際は, 異所性腎動脈損傷を想定する必要がある. また, 異所性腎動脈...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 537 - 541
Main Authors 坂野, 高大, 伊藤, 優圭, 安松, 比呂志, 船木, 裕, 原, 義明, 川口, 祐香理, 山本, 真梨子, 上田, 太一朗, 益子, 一樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.10.2024
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.38.4_01

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Summary:異所性腎動脈は頻度の高い血管破格だが, 鈍的外傷による損傷の報告は少ない. 今回, 鈍的外傷による異所性腎動脈損傷を経験したため報告する. 24歳男性が, 木片が腹部に当たり受傷した. 造影CTで右腎下極梗塞, Zone1-2に跨がる後腹膜血腫, 右腎動脈本幹より遠位で腹部大動脈から分岐する血管の途絶像を認めた. 血管造影でも同様の血管途絶像があり, 異所性腎動脈損傷と診断したが, 塞栓術は困難で, 十二指腸損傷も合併していたため開腹術により中枢側断端を結紮した. 本症例のように, 腎梗塞部に一致しない局在の後腹膜血腫を認めた際は, 異所性腎動脈損傷を想定する必要がある. また, 異所性腎動脈の血行再建は全例で必要ではない.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.38.4_01