頚椎脱臼整復後に脳塞栓症を発症した外傷性椎骨動脈閉塞の1例

外傷性椎骨動脈損傷 (vertebral artery injury : 以下VAI) は比較的稀な病態であるが, 鈍的頚椎損傷にしばしば合併しており, 脳梗塞を続発すると神経学的予後が不良となる. 特に血管閉塞の場合は脳梗塞の発生率と死亡率が高く, 抗血栓療法や血管内治療による塞栓術などの有効性が報告されているが, 統一した見解はない.  我々は, 初診時のCTでDenver scale Grade IV の椎骨動脈損傷と診断し, 外科的治療後に広範な後方循環系の脳梗塞を発症し, 意識障害が後遺した症例を経験した. 自験例を通じて脳主幹動脈閉塞を伴う頚椎損傷の治療指針について検討を行った....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 11 - 15
Main Authors 渡邉, 優, 丸島, 愛樹, 中尾, 隼三, 柳澤, 洋平, 松本, 佑啓, 鈴木, 貴明, 井上, 貴昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.01.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.36.1_03

Cover

More Information
Summary:外傷性椎骨動脈損傷 (vertebral artery injury : 以下VAI) は比較的稀な病態であるが, 鈍的頚椎損傷にしばしば合併しており, 脳梗塞を続発すると神経学的予後が不良となる. 特に血管閉塞の場合は脳梗塞の発生率と死亡率が高く, 抗血栓療法や血管内治療による塞栓術などの有効性が報告されているが, 統一した見解はない.  我々は, 初診時のCTでDenver scale Grade IV の椎骨動脈損傷と診断し, 外科的治療後に広範な後方循環系の脳梗塞を発症し, 意識障害が後遺した症例を経験した. 自験例を通じて脳主幹動脈閉塞を伴う頚椎損傷の治療指針について検討を行った. 頚椎損傷を診断した場合, VAIを念頭に置いたCT angiographyなどの精査に加えて, 血管損傷に対する治療方法を検討することが重要である.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.36.1_03