保存的加療で軽快した食道穿孔後縦隔膿瘍による敗血症
症例は70歳男性。意識障害, 発熱を呈し救急搬送された。造影CT検査にて食道穿孔による縦隔炎と診断した。また, 同部位に一致して前方に突出したびまん性特発性骨増殖症 (diffuse idiopathic skeletal hyperostosis ; DISH) を認め, 転倒による外力がDISHに加わったことによる外傷性食道穿孔を疑った。敗血症の状態であり, 広域抗菌薬で治療導入した。その後, 状態悪化して敗血症性ショックとなり, 人工呼吸器管理を要したが, 食道造影で膿瘍が縦隔内に限局し, 食道内にドレナージされていたため, 抗菌薬投与による保存的加療で治癒を目指す方針とした。第30病日...
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Published in | 日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 179 - 182 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本救急医学会関東地方会
28.12.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0287-301X 2434-2580 |
DOI | 10.24697/jaamkanto.43.4_179 |
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Summary: | 症例は70歳男性。意識障害, 発熱を呈し救急搬送された。造影CT検査にて食道穿孔による縦隔炎と診断した。また, 同部位に一致して前方に突出したびまん性特発性骨増殖症 (diffuse idiopathic skeletal hyperostosis ; DISH) を認め, 転倒による外力がDISHに加わったことによる外傷性食道穿孔を疑った。敗血症の状態であり, 広域抗菌薬で治療導入した。その後, 状態悪化して敗血症性ショックとなり, 人工呼吸器管理を要したが, 食道造影で膿瘍が縦隔内に限局し, 食道内にドレナージされていたため, 抗菌薬投与による保存的加療で治癒を目指す方針とした。第30病日の造影CT検査で膿瘍消失を確認し, 第32病日に施行した上部消化管内視鏡検査では食道粘膜は炎症瘢痕を残すのみであり, 抗菌薬は第38病日に終了した。食道穿孔による縦隔膿瘍に対する治療として, 膿瘍が縦隔内に限局しているなど条件を満たせば, 抗菌薬治療による保存的加療も適応になり得る。 |
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ISSN: | 0287-301X 2434-2580 |
DOI: | 10.24697/jaamkanto.43.4_179 |