上咽頭癌における抗EBV抗体価と免疫能

NPC 17例について抗EBV抗体価を検討し, また免疫能を末梢血リンパ球subset, リンパ球絶対数などのパラメーターを用いて検討し, つぎの結論を得た. (1) 抗VCA-IgG抗体価は, NPC群において他の頭頸部癌群や健康者群に比べ有意に高く, NPCの診断の一つの指標として有用である. (2) NPC症例のEBV関連の各抗体価を検討したところ, 治療によく反応した予後のよい症例では, 病態の寛解に伴つて正常化したが, 転移により全身状態が悪化した症例では, 上昇していた. 抗体価の変動は臨床像とよく相関することを示し, これらの抗体価の経時的測定はNPCの経過観察に不可欠であること...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 37; no. 6; pp. 1375 - 1382
Main Authors 澤木, 修二, 持松, いづみ, 佃, 守, 劉, 以誠, 宮田, 佳代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 1991
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.37.6_1375

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Summary:NPC 17例について抗EBV抗体価を検討し, また免疫能を末梢血リンパ球subset, リンパ球絶対数などのパラメーターを用いて検討し, つぎの結論を得た. (1) 抗VCA-IgG抗体価は, NPC群において他の頭頸部癌群や健康者群に比べ有意に高く, NPCの診断の一つの指標として有用である. (2) NPC症例のEBV関連の各抗体価を検討したところ, 治療によく反応した予後のよい症例では, 病態の寛解に伴つて正常化したが, 転移により全身状態が悪化した症例では, 上昇していた. 抗体価の変動は臨床像とよく相関することを示し, これらの抗体価の経時的測定はNPCの経過観察に不可欠であることが認められた. (3) NPC患者のリンパ球subsetでは, OKT 4値の低下, OKT 8値の増加が著しく, ひいてはOKT 4/8比が著明に低下し, Leu lla値も有意な低下を認めた. (4) 以上の結果により, NPC患者の免疫能は明らかに低下し, 免疫療法を含む全身的治療が重要であると考えられた.
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.37.6_1375