重症脳底動脈閉塞に対して機械的血栓回収療法は有効か?

前方循環系の脳梗塞に対する機械的血栓回収療法 (MT) の有効性は明らかである。後方循環系である脳底動脈閉塞 (BAO) においても近年, 有効性を示す報告が出始めているが, 重症例においてはその評価は定まっていない。当センターに搬送されMTを行ったBAOのうち, NIHSS 22点以上かつGCS 8点以下の昏睡例を重症と定義し, 後方視的に調査した。調査期間に14例の重症BAOに対してMTを施行した。対象の中央値はそれぞれ年齢72歳 (67~77), 来院時GCS 4 (3~6), 来院時NIHSS 38 (32~40) であった。14例中3例 (21%) で良好な転帰が得られ, 5例 (3...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 297 - 299
Main Authors 宮崎, 善史, 岩瀬, 史明, 梅田, 浩介, 松本, 学, 松本, 隆, 伊藤, 鮎美, 三井, 太智, 萩原, 一樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 28.12.2023
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.44.4_297

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Summary:前方循環系の脳梗塞に対する機械的血栓回収療法 (MT) の有効性は明らかである。後方循環系である脳底動脈閉塞 (BAO) においても近年, 有効性を示す報告が出始めているが, 重症例においてはその評価は定まっていない。当センターに搬送されMTを行ったBAOのうち, NIHSS 22点以上かつGCS 8点以下の昏睡例を重症と定義し, 後方視的に調査した。調査期間に14例の重症BAOに対してMTを施行した。対象の中央値はそれぞれ年齢72歳 (67~77), 来院時GCS 4 (3~6), 来院時NIHSS 38 (32~40) であった。14例中3例 (21%) で良好な転帰が得られ, 5例 (36%) でNIHSS 10点以上の改善がみられた。前方循環や先行研究に比べ転帰良好が多いとはいえないが, GCS 4以下の超重症例が大部分を占めており, 治療は重要な役割を担ったと考えている。重症BAOに対しても積極的にMTを行っていくべきである。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.44.4_297