Splenic cord capillary hemangiomaと最終診断しえた脾臓腫瘍の1例

症例は35歳の女性で,2007年9月中旬頃から38℃前後の発熱,筋肉痛,関節痛を繰り返すため,同年10月上旬当院内科を受診した.血液生化学的検査で軽度の肝機能異常を認めたためCTを施行したところ,最大径約3 cm大の脾臓腫瘍を認めた.入院後,全身精査で他臓器に悪性腫瘍を指摘しえず,原発性脾臓腫瘍を疑い,同年11月腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.手術時間は80分,出血量は20 mlであった.脾臓摘出のための創部を最小限に収めるために,Endocatch IITMに収納したうえで3分割後体外に摘出した.肉眼検査所見では被膜を有さない比較的境界明瞭な3×2.5 cmの結節性病変であった.病理組織学的検...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 12; pp. 1819 - 1825
Main Authors 平田, 公一, 高杉, 憲三, 伊東, 竜哉, 秦, 史壮, 齋藤, 慶太, 池田, 慎一郎, 宮本, 茂樹, 高木, 芳武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.12.2009
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.42.1819

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Summary:症例は35歳の女性で,2007年9月中旬頃から38℃前後の発熱,筋肉痛,関節痛を繰り返すため,同年10月上旬当院内科を受診した.血液生化学的検査で軽度の肝機能異常を認めたためCTを施行したところ,最大径約3 cm大の脾臓腫瘍を認めた.入院後,全身精査で他臓器に悪性腫瘍を指摘しえず,原発性脾臓腫瘍を疑い,同年11月腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.手術時間は80分,出血量は20 mlであった.脾臓摘出のための創部を最小限に収めるために,Endocatch IITMに収納したうえで3分割後体外に摘出した.肉眼検査所見では被膜を有さない比較的境界明瞭な3×2.5 cmの結節性病変であった.病理組織学的検査において,腫瘍は赤脾髄の脾索性毛細血管の増殖からなり,その形態学的特徴と免疫組織学的検索での特徴としてCD34陽性,CD8陰性,第VIII因子関連抗原(以下,Factor VIII)陰性の増殖内皮細胞の性状であったことから,過誤腫に包括されているsplenic cord capillary hemangiomaと診断した.本症は過誤腫の中でも非常にまれと推察され,自験例が本邦1例目であり報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.42.1819