腸管壊死を繰り返した慢性上腸間膜動脈閉塞症に対し腸切除と人工血管による血行再建を同時施行した1例

症例は77歳の男性で,回盲部を中心とした腸管壊死に対し同部位を緊急切除後も,食後の腹痛があり血管撮影検査で小腸が下腸間膜動脈のみで支配される腹部アンギーナと診断した.待機手術準備中に再度腸管壊死および汎発性腹膜炎を発症.自家静脈がなく,人工血管による血行再建を必要としたが,感染を考慮し腸切除のみとした.腹腔内汚染が落ち着いてから血行再建の方針として中心静脈栄養管理としていたが,腸管壊死が再度認められた.腸切除のみでは今後も腸管壊死を繰り返すおそれがあったため,緊急で虚血回腸切除・人工肛門造設・人工血管による上腸間膜動脈へのバイパスを施行した.術後経過は良好で,人工血管感染や短腸症候群を呈するこ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 11; pp. 1723 - 1727
Main Authors 山本, 晃太, 新海, 宏, 竹上, 智浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.11.2009
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.42.1723

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Summary:症例は77歳の男性で,回盲部を中心とした腸管壊死に対し同部位を緊急切除後も,食後の腹痛があり血管撮影検査で小腸が下腸間膜動脈のみで支配される腹部アンギーナと診断した.待機手術準備中に再度腸管壊死および汎発性腹膜炎を発症.自家静脈がなく,人工血管による血行再建を必要としたが,感染を考慮し腸切除のみとした.腹腔内汚染が落ち着いてから血行再建の方針として中心静脈栄養管理としていたが,腸管壊死が再度認められた.腸切除のみでは今後も腸管壊死を繰り返すおそれがあったため,緊急で虚血回腸切除・人工肛門造設・人工血管による上腸間膜動脈へのバイパスを施行した.術後経過は良好で,人工血管感染や短腸症候群を呈することなく人工肛門も閉鎖できた.腸切除と人工血管を使用する手術は2期的手術が原則であるが,止むを得ず行う場合には厳密な術中操作を施行すれば可能であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.42.1723