急性腎後性腎不全を発症した巨大内骨動脈瘤の1例

内腸骨動脈瘤の多くは無症状で,大きさや部位によって尿路や神経症状で発見されることもある.しかし,片側内腸骨動脈瘤では片側水腎症は認めても急性腎後性腎不全になることは少ない.76歳男性,排尿障害を主訴に当院受診した.CTで骨盤内に100 mm大の巨大な左内腸骨動脈瘤を認め,膀胱を圧排し,両側水腎症を認めた.Cr 6.16 mg/dLと高度腎障害を認め,左内腸骨動脈瘤による急性腎後性腎不全と診断した.緊急で左内腸骨動脈瘤の末梢塞栓術と腸骨動脈にステントグラフト留置術を行った.術後Cr 1.46 mg/dLまで改善,10日目に退院した.内腸骨動脈瘤に対する血管内治療は破裂予防は可能だが,瘤自体は残存...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 37 - 41
Main Authors 田畑, 光紀, 佐伯, 悟三, 大西, 紘平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 29.03.2025
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.25-00001

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Summary:内腸骨動脈瘤の多くは無症状で,大きさや部位によって尿路や神経症状で発見されることもある.しかし,片側内腸骨動脈瘤では片側水腎症は認めても急性腎後性腎不全になることは少ない.76歳男性,排尿障害を主訴に当院受診した.CTで骨盤内に100 mm大の巨大な左内腸骨動脈瘤を認め,膀胱を圧排し,両側水腎症を認めた.Cr 6.16 mg/dLと高度腎障害を認め,左内腸骨動脈瘤による急性腎後性腎不全と診断した.緊急で左内腸骨動脈瘤の末梢塞栓術と腸骨動脈にステントグラフト留置術を行った.術後Cr 1.46 mg/dLまで改善,10日目に退院した.内腸骨動脈瘤に対する血管内治療は破裂予防は可能だが,瘤自体は残存するため腎不全は改善しない可能性があったが,本症例は瘤内の圧が低下,膀胱や尿管の圧排が改善したため腎機能が改善した.内腸骨動脈瘤に対する血管内治療は破裂予防だけでなく,瘤の圧排による腎後性腎不全にも有効であった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.25-00001