遅発性上気道狭窄を伴った外傷性後咽頭間隙血腫の一例

症例は76歳の男性で, 飲酒後に転倒し, 当院へ搬送された. 頸部CTで後咽頭間隙血腫を認めたが, 呼吸困難や酸素化低下などはなかった. 受傷5日目にStridorと酸素化低下が出現し, 気管支鏡で後咽頭間隙血種による気管後壁の圧排所見を認め, 上気道狭窄に至った. 気管支鏡下にて気管挿管を施行し, 呼吸状態および低酸素血症は速やかに改善した. 第12病日に人工呼吸器離脱し, 第46病日に自宅退院した. 後咽頭間隙血腫は比較的稀な外傷であるが, 転倒外傷において, 初療時に上気道狭窄症状のない後咽頭間隙血腫が受傷5日目に急速に増悪し気道狭窄に至ることは極めて稀である. 初療時に上気道狭窄症状が...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 37; no. 3; pp. 319 - 323
Main Authors 大野, 聡一郎, 大島, 千穂, 佐々木, 淳一, 山元, 良, 西田, 有正, 宇田川, 和彦, 栗原, 智宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2023
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.37.3_06

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Summary:症例は76歳の男性で, 飲酒後に転倒し, 当院へ搬送された. 頸部CTで後咽頭間隙血腫を認めたが, 呼吸困難や酸素化低下などはなかった. 受傷5日目にStridorと酸素化低下が出現し, 気管支鏡で後咽頭間隙血種による気管後壁の圧排所見を認め, 上気道狭窄に至った. 気管支鏡下にて気管挿管を施行し, 呼吸状態および低酸素血症は速やかに改善した. 第12病日に人工呼吸器離脱し, 第46病日に自宅退院した. 後咽頭間隙血腫は比較的稀な外傷であるが, 転倒外傷において, 初療時に上気道狭窄症状のない後咽頭間隙血腫が受傷5日目に急速に増悪し気道狭窄に至ることは極めて稀である. 初療時に上気道狭窄症状がなくても, 数日以上の経過観察を行う必要性が示唆された.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.37.3_06