高気圧酸素療法を併用した頸部ガス壊疽の1例

頸部ガス壊疽は非常に重篤な感染症であり, 早期に診断して的確な治療を行うことが重要である。原因として扁桃周囲膿瘍などの急性炎症由来と齲歯などの歯性由来が大半を占める。重症化することや多剤耐性菌による感染を繰り返すことで治療に難渋することも多い。今回, 齲歯から波及した頸部ガス壊疽に対して高気圧酸素療法を併用し良好な経過をたどった1例を経験したため報告する。症例は既往のない42歳男性, 開口障害と右頸部の腫脹を主訴に前医を受診し, 頸部ガス壊疽と診断され当院へ搬送された。外科的処置と抗菌薬治療に加え, 第4病日から高気圧酸素療法を施行し, 炎症反応や頸部の腫脹は改善を認め第19病日に退院した。症...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 41; no. 2; pp. 285 - 289
Main Authors 鈴木, 恵輔, 八木, 正晴, 小林, 一女, 内山, 美緒, 中島, 靖浩, 前田, 敦雄, 森川, 健太郎, 柿, 佑樹, 加藤, 晶人, 土肥, 謙二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 31.03.2020
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.41.2_285

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Summary:頸部ガス壊疽は非常に重篤な感染症であり, 早期に診断して的確な治療を行うことが重要である。原因として扁桃周囲膿瘍などの急性炎症由来と齲歯などの歯性由来が大半を占める。重症化することや多剤耐性菌による感染を繰り返すことで治療に難渋することも多い。今回, 齲歯から波及した頸部ガス壊疽に対して高気圧酸素療法を併用し良好な経過をたどった1例を経験したため報告する。症例は既往のない42歳男性, 開口障害と右頸部の腫脹を主訴に前医を受診し, 頸部ガス壊疽と診断され当院へ搬送された。外科的処置と抗菌薬治療に加え, 第4病日から高気圧酸素療法を施行し, 炎症反応や頸部の腫脹は改善を認め第19病日に退院した。症状の進行が急速である頸部ガス壊疽において, 早期の外科的処置, 抗菌薬治療に加え, 高気圧酸素療法の併用が症状の改善に役立つと思われた。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.41.2_285