胸骨中点高 (E5) 断面における骨格筋の機能解剖学的研究

体幹骨格筋の発達とその機能的な関連を生体について明らかにするためにErdheim格子線E5高 (胸骨中点高) のCT写真について同部の筋断面積を検討した.研究対象は30歳代から70歳代にわたる健康な成人99名 (男性50, 女性49) で, 10歳ごとの年齢階級およびローレル指数によるA (129以下) , C (130-149) , D (150以上) の3体型に区分した.観察した筋は前胸筋として大胸筋, 小胸筋および前鋸筋, 肩甲筋として肩甲下筋と大円筋, 浅背筋として僧帽筋, 菱形筋および広背筋, 固有背筋として腸肋筋, 胸最長筋および横突棘筋であり, それぞれについてCT写真をトレース...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 51; no. 1; pp. 30 - 39
Main Authors 毛利, 友次, 林, 真実, 大原, 鐘敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1991
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.51.30

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Summary:体幹骨格筋の発達とその機能的な関連を生体について明らかにするためにErdheim格子線E5高 (胸骨中点高) のCT写真について同部の筋断面積を検討した.研究対象は30歳代から70歳代にわたる健康な成人99名 (男性50, 女性49) で, 10歳ごとの年齢階級およびローレル指数によるA (129以下) , C (130-149) , D (150以上) の3体型に区分した.観察した筋は前胸筋として大胸筋, 小胸筋および前鋸筋, 肩甲筋として肩甲下筋と大円筋, 浅背筋として僧帽筋, 菱形筋および広背筋, 固有背筋として腸肋筋, 胸最長筋および横突棘筋であり, それぞれについてCT写真をトレースして断面積を計測, 性別, 側別, 年齢別, 体型別に検討し, 機能的な変化を考察した.結果: 1.筋群別および個々の筋について断面積を比較すると, 肩甲筋群および広背筋では男>女, 右>左の傾向が強く, 男女および左右による上腕内旋機能の差が考えられ, また, 前鋸筋, 僧帽筋および菱形筋では男>女の傾向がみられ男女による肩甲骨固定機能の差も考えられた.2.胸骨中点高の固有背筋断面積は腰部に比べて, 男性では約1/4, 女性では約1/3で, 男性では腰部よりも年齢的に漸減傾向が早かった.3.年齢的には各筋群とも70歳代では他の年代よりも小であったが, 前胸筋では大胸筋と小胸筋で, 肩甲筋では男性の大円筋で, 女性ではその右側のみで, 浅背筋では男性は僧帽筋のみで, 女性は全筋で, 固有背筋では男性の横突棘筋, 胸最長筋でそれぞれ加齢減少の傾向がみられ, phasicな機能の加齢的減少が考えられた.4.筋別に体型との関係については, 前鋸筋, 僧帽筋および広背筋ではD, C, A体型の順に大, 大円筋と肩甲下筋ではD体型が他よりも大の傾向がみられ, 肥満に伴う上肢の体支持機能の増大が考えられた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.51.30