歯科診療所における長期メインテナンス中の中高年期の歯の喪失に関連する要因
本研究の目的は, 歯科診療所において長期間のメインテナンスケアーを利用している, 中高年期の受診者の歯の喪失に関連する危険因子を明らかにすることである。 大阪市内の2つの歯科医院のいずれかにおいて, 15年間以上メインテナンスを受け, かつ2004年7月-10月の4カ月間に来院した者のすべてを対象とした。対象者の1年あたり喪失歯数は, 初期治療終了後の1回目のメインテナンス受診開始時(ベースライン時)と, 上記期間最終の来院時の歯の本数の差により算出した。 最終来院時の対象者平均年齢は67.5歳で, 対象者371人の平均メインテナンス期間は, ベースライン時年齢が40歳未満は27.5年間, 4...
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Published in | Ronen Shika Igaku Vol. 24; no. 1; pp. 10 - 19 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年歯科医学会
2009
Japanese Society of Gerodontology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-3866 1884-7323 |
DOI | 10.11259/jsg.24.10 |
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Summary: | 本研究の目的は, 歯科診療所において長期間のメインテナンスケアーを利用している, 中高年期の受診者の歯の喪失に関連する危険因子を明らかにすることである。 大阪市内の2つの歯科医院のいずれかにおいて, 15年間以上メインテナンスを受け, かつ2004年7月-10月の4カ月間に来院した者のすべてを対象とした。対象者の1年あたり喪失歯数は, 初期治療終了後の1回目のメインテナンス受診開始時(ベースライン時)と, 上記期間最終の来院時の歯の本数の差により算出した。 最終来院時の対象者平均年齢は67.5歳で, 対象者371人の平均メインテナンス期間は, ベースライン時年齢が40歳未満は27.5年間, 40歳以上は25.8年間であった。 第三大臼歯を除く, 年平均喪失歯数は40歳未満が0.040本, 40歳以上が0.115本であった。重回帰分析の結果, ベースライン時年齢が40歳未満は, 現在歯数が少ないことと4mm以上の歯周ポケットの有無が年喪失歯数との関連が示された。一方, ベースライン時年齢が40歳以上は, 失活歯数, 4mm以上の歯周ポケットの有無, および糖尿病の有無と喫煙習慣が年喪失歯数との関連が示された。本研究の結果, 長期メインテナンスを継続的に実施する場合でも, 40歳以降の受診者については歯周病だけではなく, 喫煙習慣および糖尿病などの健康管理に配慮するとともに, 生涯を通じて歯髄の失活を防ぐことが中高年期における歯の喪失の予防に重要であることを示唆している。 |
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ISSN: | 0914-3866 1884-7323 |
DOI: | 10.11259/jsg.24.10 |