全反射蛍光X線分析によるコンクリート表面ウラン汚染レベルスクリーニング法

老朽化等に伴う原子力施設等の解体や東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業などでは,資材等が核燃料物質や核分裂生成物にどの程度汚染されているかを評価することが求められる.本研究では,そのような際に発生する可能性のある汚染コンクリート表面のウラン汚染レベルをスクリーニングする手法を提案する.本法では,コンクリート表面を削り,そこから成分を酸溶出させて,固相抽出法によりウランを抽出して全反射蛍光X線分析を行う.使用するコンクリート量が多いとマトリクス影響で固相抽出における回収率が低下するため,使用するコンクリート量として0.5 gとすることが適切であるとの結論を得た.コンクリートへのウラン添加量と,...

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Published inX線分析の進歩 Vol. 53; pp. 89 - 96
Main Authors 高村, 晃大, 吉井, 裕, 上床, 哲明, 酒井, 康弘, 高田, 由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2022
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ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.53.0_89

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Summary:老朽化等に伴う原子力施設等の解体や東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業などでは,資材等が核燃料物質や核分裂生成物にどの程度汚染されているかを評価することが求められる.本研究では,そのような際に発生する可能性のある汚染コンクリート表面のウラン汚染レベルをスクリーニングする手法を提案する.本法では,コンクリート表面を削り,そこから成分を酸溶出させて,固相抽出法によりウランを抽出して全反射蛍光X線分析を行う.使用するコンクリート量が多いとマトリクス影響で固相抽出における回収率が低下するため,使用するコンクリート量として0.5 gとすることが適切であるとの結論を得た.コンクリートへのウラン添加量と,溶出液中ウラン検出量の関係は,傾きがほぼ1の直線を呈し,また,非汚染コンクリートもウランを含んでいることから,縦軸切片が有意な値を持った.検出下限は37 ngであり,汚染の可能性のあるコンクリートの酸溶出液において,非汚染コンクリート酸溶出液よりもウラン検出量が37 ng以上上昇している場合に汚染が確認される.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.53.0_89