分析走査電子顕微鏡による建築物解体等工事現場周辺における大気中石綿濃度測定法の検討

分析走査電子顕微鏡法による建築物解体等工事現場周辺の大気中石綿繊維数濃度測定を迅速に行うため、試料前処理法及び観察方法について検討した。その結果、低温灰化法の方が繊維は明瞭に観察できるものの、低温灰化処理によるフィルター凝集による繊維の移動、処理効率のばらつき、処理に係る手間等から、試料前処理法はカーボンペースト含浸法が適していると考えられた。カーボンペースト含浸法では、低倍率(1000倍程度)時に二次電子像で観察するとフィルターに起因するバックグラウンド像により低温灰化法より細かい繊維が明瞭に観察できないが、反射電子像を利用すると石綿繊維を含む無機繊維が白くコントラストがはっきりすることで明...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 44; no. 5; pp. 242 - 247
Main Authors 中村, 勇兒, 藤森, 英治, 江本, 勇治, 竹内, 淨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 2009
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ISSN1341-4178
2185-4335
DOI10.11298/taiki.44.242

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Summary:分析走査電子顕微鏡法による建築物解体等工事現場周辺の大気中石綿繊維数濃度測定を迅速に行うため、試料前処理法及び観察方法について検討した。その結果、低温灰化法の方が繊維は明瞭に観察できるものの、低温灰化処理によるフィルター凝集による繊維の移動、処理効率のばらつき、処理に係る手間等から、試料前処理法はカーボンペースト含浸法が適していると考えられた。カーボンペースト含浸法では、低倍率(1000倍程度)時に二次電子像で観察するとフィルターに起因するバックグラウンド像により低温灰化法より細かい繊維が明瞭に観察できないが、反射電子像を利用すると石綿繊維を含む無機繊維が白くコントラストがはっきりすることで明瞭に観察でき、また、有機繊維がグレーに観察されることから、無機繊維の迅速な探索が可能になった。この方法により無機繊維を探索し、探索されたら二次電子像に切り替え、数千~数万倍程度の高倍率で形状観察及び元素組成分析を行うことで石綿繊維の迅速な同定が可能となる。この方法で建築物解体等工事現場周辺試料の測定を行ったところ、位相差顕微鏡法の観察限界能である0.25μm未満の幅の繊維も明瞭に観察できた。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.44.242