GISによる在宅医療受療率の地域差の要因分析

地域包括ケアシステムの導入により,在宅医療の普及整備が進められている.しかしながら,実際のサービスの利用については同一自治体内でも地域差があることが指摘されており,その要因についてはこれまで指摘されてこなかった.本稿では,在宅医療にかかるレセプトデータを利用し,地理情報システムによる地理空間情報と比較することにより,在宅医療受療率の地域差の要因分析を試みた.方法として,千葉県船橋市において大字別に在宅医療の受療率を算出し,地図上に投影した上で,人口などの基本統計や医療機関との時間距離などの空間解析データと統計的に比較した.結果として,時間距離が有意に長い地域と,在宅医療受療率が有意に低い地域が...

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Published inJapan Journal of Medical Informatics Vol. 37; no. 6; pp. 291 - 301
Main Authors 井出, 博生, 小川, 真司, 土井, 俊祐, 竹内, 公一, 鈴木, 隆弘, 藤田, 伸輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療情報学会 2017
Japan Association for Medical Informatics
Subjects
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ISSN0289-8055
2188-8469
DOI10.14948/jami.37.291

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Summary:地域包括ケアシステムの導入により,在宅医療の普及整備が進められている.しかしながら,実際のサービスの利用については同一自治体内でも地域差があることが指摘されており,その要因についてはこれまで指摘されてこなかった.本稿では,在宅医療にかかるレセプトデータを利用し,地理情報システムによる地理空間情報と比較することにより,在宅医療受療率の地域差の要因分析を試みた.方法として,千葉県船橋市において大字別に在宅医療の受療率を算出し,地図上に投影した上で,人口などの基本統計や医療機関との時間距離などの空間解析データと統計的に比較した.結果として,時間距離が有意に長い地域と,在宅医療受療率が有意に低い地域が一致することを示したが,統計的に有意となる地域差の要因を提示するには至らなかった.今後,在宅医療にかかる医療・介護のデータを横断的に取得し,他の要因を考慮することで,更なる検討を進める計画である.
ISSN:0289-8055
2188-8469
DOI:10.14948/jami.37.291