二次電池の放射光X線分析データへの計測インフォマティクスの適用

二次電池の分析において,放射光X線分析は,高い物質透過能による非解体での分析の可能性と,高輝度による短時間測定等が可能であることから広く用いられている.このような分析においては,その場測定なども可能となったために,一度の実験で非常に膨大で情報量の多いデータを入手できることが多く,その解析・解釈にむしろ時間を要する.このような,結果の解析において計測インフォマティクスを用いることで効率的なデータ解析,さらには,高品質なデータ取得も期待される.本稿では,二次電池における放射光X線分析で特有のin-situ XAFS/XRD測定および二次元イメージングXAFSの分析結果に対して,計測インフォマティク...

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Published inX線分析の進歩 Vol. 54; pp. 21 - 31
Main Authors 蛭田, 優貴, 森, 拓弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2023
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ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.54.0_21

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Summary:二次電池の分析において,放射光X線分析は,高い物質透過能による非解体での分析の可能性と,高輝度による短時間測定等が可能であることから広く用いられている.このような分析においては,その場測定なども可能となったために,一度の実験で非常に膨大で情報量の多いデータを入手できることが多く,その解析・解釈にむしろ時間を要する.このような,結果の解析において計測インフォマティクスを用いることで効率的なデータ解析,さらには,高品質なデータ取得も期待される.本稿では,二次電池における放射光X線分析で特有のin-situ XAFS/XRD測定および二次元イメージングXAFSの分析結果に対して,計測インフォマティクスを適用することで,データ駆動的解析の可否および高解像度化の可能性について検討した結果について紹介する.in-situ XAFS/XRD測定のデータ駆動的解析においては,X線分析データから得られた特徴量とその場測定の際に取得される二次電池セルの電圧変化との間の関係性をスパース推定法によって解析した.得られた結果は,既報のドメイン知識から得られる結論と同様であり,さらには隠れた特徴を抽出する可能性もあった.また,二次元イメージングXAFSの高解像度化については,Noise2Noiseによる教師学習モデルにて,画像のノイズ除去を用いて,スペクトルのS/N比の改善を行い,電極反応分布の高解像度マッピングを可能とした.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.54.0_21