脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療後に生じた囊胞と血管腫様病変に対して摘出術を行った1例

脳動静脈奇形(AVM)に対するガンマナイフ治療において,晩期合併症としての囊胞形成はよく知られている.囊胞と血管腫様病変の合併症例に対し,摘出術が有効と思われる症例を経験したため報告する.症例は41歳,男性.20代でparasplenial AVMに対してガンマナイフ治療を行った.経過観察中に両側頭頂葉に囊胞が出現し,けいれん発作を繰り返した.けいれん重責発作により意識障害が遷延したため当院に紹介された.MRIでは血管腫様病変と複数の囊胞がGalenic system上前方に首座しており,広範な脳浮腫を伴っていた.囊胞-腹腔シャント術を施行したが,意識状態が改善しないため開頭腫瘍摘出術を施行し...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 52; no. 1; pp. 13 - 17
Main Authors 齋藤, 清, 箱崎, 半道, 齋藤, 孝光, 遠藤, 未緒
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 31.01.2024
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.52.13

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Summary:脳動静脈奇形(AVM)に対するガンマナイフ治療において,晩期合併症としての囊胞形成はよく知られている.囊胞と血管腫様病変の合併症例に対し,摘出術が有効と思われる症例を経験したため報告する.症例は41歳,男性.20代でparasplenial AVMに対してガンマナイフ治療を行った.経過観察中に両側頭頂葉に囊胞が出現し,けいれん発作を繰り返した.けいれん重責発作により意識障害が遷延したため当院に紹介された.MRIでは血管腫様病変と複数の囊胞がGalenic system上前方に首座しており,広範な脳浮腫を伴っていた.囊胞-腹腔シャント術を施行したが,意識状態が改善しないため開頭腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は血管が集簇している所見であり,cavernous hemangiomaと病理診断された.術後意識障害は改善傾向を認め,mRS 5で自宅退院された.AVMに対するガンマナイフ治療の有効性は確立しているが,晩期合併症として放射線誘発性変化を認める可能性があるため定期的な画像検査は必須である.囊胞を形成しても無症候性の場合は経過観察可能と思われるが,症候化した症例や血管腫病変を伴う症例においては,速やかな外科的摘出を考慮すべきと思われた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.52.13