高齢者の立ち上がり動作における杖の使用条件に対する足圧荷重と重心動揺の特徴

本研究は、高齢者の杖を利用した立ち上がり動作の特徴を検証することを目的とし、杖の本数 (:0本,1本,2本)、長さ (長,短)、位置 (後,中,前)の3要因を考慮した場合に足圧荷重や重心動揺がどのような差異を示すのかを調査した。被験者 (男女5名) は全て歩行非自立群に属しており、座位から立ち上がり動作と連続する立位動作について5秒間計測を行った。その結果、足圧荷重は杖の本数と突く位置に関わらず、長い条件において体重あたりの足圧荷重を相対的に減弱できることが明らかとなった。一方で、重心の総軌跡長は、杖が長い条件で有意に大きくなっていたため、杖が長い条件を利用することで身体をより楽に立ち上げるこ...

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Published inデザイン学研究 Vol. 68; no. 2; pp. 2_29 - 2_34
Main Authors 小林, 昭世, 北, 徹朗, 中原, 俊三郎, 李, 芊芊, 一川, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本デザイン学会 30.09.2021
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ISSN0910-8173
2186-5221
DOI10.11247/jssdj.68.2_29

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Summary:本研究は、高齢者の杖を利用した立ち上がり動作の特徴を検証することを目的とし、杖の本数 (:0本,1本,2本)、長さ (長,短)、位置 (後,中,前)の3要因を考慮した場合に足圧荷重や重心動揺がどのような差異を示すのかを調査した。被験者 (男女5名) は全て歩行非自立群に属しており、座位から立ち上がり動作と連続する立位動作について5秒間計測を行った。その結果、足圧荷重は杖の本数と突く位置に関わらず、長い条件において体重あたりの足圧荷重を相対的に減弱できることが明らかとなった。一方で、重心の総軌跡長は、杖が長い条件で有意に大きくなっていたため、杖が長い条件を利用することで身体をより楽に立ち上げることは可能となるが、立位後は重心動揺の安定性維持に注意が必要であることが示唆された。以上のことから高齢者が使用する杖は、体格に応じた適切な長さに設定することは重要であり、様々な個人の動作特徴に応じた杖をデザインし、使用条件を正しく選定していく必要性が示唆された。
ISSN:0910-8173
2186-5221
DOI:10.11247/jssdj.68.2_29