小児・若年者の甲状腺乳頭癌の臨床病理学的特徴

小児および若年者の甲状腺分化癌では,乳頭癌が大部分を占め,そのなかでも特に充実型,びまん性硬化型が多くみられる。小児・若年者の乳頭癌は成人に比べてリンパ節転移や遠隔転移,術後再発の頻度が高いものの,生命予後は良好であると報告されている。しかし,その頻度が低いため,臨床病理学的特徴についてはまだ十分に理解されていない。そこで,本研究は小児・若年者乳頭癌の臨床病理学特徴について後ろ向きに検討した。対象は2006から2013年に乳頭癌手術6577症例のうち,手術時年齢が30歳未満の457例。小児期(18歳以下)45例と若年期(19~29歳) 412例で比較すると,小児期では若年期に比べて亜型,特に充...

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Published in日本内分泌外科学会雑誌 Vol. 42; no. 2; pp. 108 - 114
Main Authors 北川 亘, 杉野 公則, 赤石 純子, 松津 賢一, 近藤 哲夫, 友田 智哲, 加藤 良平, 伊藤 公一, 鈴木 章史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内分泌外科学会 2025
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ISSN2434-6535
2758-8785
DOI10.11226/ojjaes.42.2_108

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Summary:小児および若年者の甲状腺分化癌では,乳頭癌が大部分を占め,そのなかでも特に充実型,びまん性硬化型が多くみられる。小児・若年者の乳頭癌は成人に比べてリンパ節転移や遠隔転移,術後再発の頻度が高いものの,生命予後は良好であると報告されている。しかし,その頻度が低いため,臨床病理学的特徴についてはまだ十分に理解されていない。そこで,本研究は小児・若年者乳頭癌の臨床病理学特徴について後ろ向きに検討した。対象は2006から2013年に乳頭癌手術6577症例のうち,手術時年齢が30歳未満の457例。小児期(18歳以下)45例と若年期(19~29歳) 412例で比較すると,小児期では若年期に比べて亜型,特に充実型が多く,術前リンパ節転移や遠隔転移の頻度が高かった。平均観察期間12年で10年疾患特異的生存率は100%,無再発生存率は92.3%であった。小児・若年者乳頭癌の生命予後は良好であるものの,リンパ節再発が多くみられ,長期的な経過観察が必要である。
ISSN:2434-6535
2758-8785
DOI:10.11226/ojjaes.42.2_108