仮説設定における思考過程とその合理性に関する基礎的研究

理科における問題解決や探究の入り口として, 学習者自身に仮説を立てさせることの重要性が指摘されている。一方, 仮説設定に関する先行研究においては, 学習者が仮説を設定する際の思考過程の実態が明らかにされてこなかった。そこで本研究では, 仮説設定を求める調査問題を6問作成するとともに, 大学生・大学院生を対象とした面接調査を実施した。結果の分析に際しては, まず, 発話プロトコルから思考過程を推定し, その内容によって6つのカテゴリーに分類した。次に, それらのカテゴリー間の推移を集計し, 仮説設定には共通した思考過程が存在することを明らかにした。また, 思考過程の合理性を得点化し, 思考過程と...

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Published in理科教育学研究 Vol. 58; no. 3; pp. 279 - 292
Main Authors 松浦, 拓也, 中村, 大輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本理科教育学会 2018
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ISSN1345-2614
2187-509X
DOI10.11639/sjst.17005

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Summary:理科における問題解決や探究の入り口として, 学習者自身に仮説を立てさせることの重要性が指摘されている。一方, 仮説設定に関する先行研究においては, 学習者が仮説を設定する際の思考過程の実態が明らかにされてこなかった。そこで本研究では, 仮説設定を求める調査問題を6問作成するとともに, 大学生・大学院生を対象とした面接調査を実施した。結果の分析に際しては, まず, 発話プロトコルから思考過程を推定し, その内容によって6つのカテゴリーに分類した。次に, それらのカテゴリー間の推移を集計し, 仮説設定には共通した思考過程が存在することを明らかにした。また, 思考過程の合理性を得点化し, 思考過程との関係性を検討した結果, 変数の同定過程においては複数の変数の吟味が, 因果関係の認識過程においては因果関係の慎重な検討が合理性に正の影響を及ぼすことが明らかになった。
ISSN:1345-2614
2187-509X
DOI:10.11639/sjst.17005