IgG4 関連疾患に伴う慢性副鼻腔炎の1例

今回, われわれは慢性副鼻腔炎術後に IgG4 関連疾患の診断に至った1例を経験したので報告する。 症例は66歳男性であり, 鼻閉, 左頬部痛, 嗅覚障害を主訴に佐久医療センター耳鼻咽喉科を受診した。 鼻内所見では粘膜腫脹, 膿性鼻漏, 易出血性を認め, 副鼻腔単純 CT にて汎副鼻腔に軟部濃度陰影を認めたことから慢性副鼻腔炎と診断した。 保存的に内服加療するも抵抗性を示し改善しなかったため, 内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した。 術後は度々粘膜のびらんや痂皮の付着を認めた。 そして術後経過観察中の健診において肺の異常陰影を指摘され精査したところ, 血液・画像検査所見や鼻腔粘膜の病理所見などから...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 61; no. 6; pp. 324 - 329
Main Authors 清水, 雄太, 滝澤, 悠己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.2018
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.61.6_324

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Summary:今回, われわれは慢性副鼻腔炎術後に IgG4 関連疾患の診断に至った1例を経験したので報告する。 症例は66歳男性であり, 鼻閉, 左頬部痛, 嗅覚障害を主訴に佐久医療センター耳鼻咽喉科を受診した。 鼻内所見では粘膜腫脹, 膿性鼻漏, 易出血性を認め, 副鼻腔単純 CT にて汎副鼻腔に軟部濃度陰影を認めたことから慢性副鼻腔炎と診断した。 保存的に内服加療するも抵抗性を示し改善しなかったため, 内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した。 術後は度々粘膜のびらんや痂皮の付着を認めた。 そして術後経過観察中の健診において肺の異常陰影を指摘され精査したところ, 血液・画像検査所見や鼻腔粘膜の病理所見などから IgG4 関連疾患と診断された。 眼球乾燥や口腔乾燥も認められ, プレドニゾロン 30mg/日より治療開始し, 現在は 15mg/日まで漸減して継続中である。 術後約20ヵ月経過しているが, 鼻内所見の増悪や副鼻腔炎の明らかな再燃は認めてない。 IgG4 関連疾患患者が本症例のように鼻症状のみで受診されることもある。 IgG4 関連疾患は症状が出にくいために診断が遅れることが多い。 その中でも比較的症状が現れやすいのが耳鼻咽喉科領域であり, 診断の端緒になることを踏まえて日常診療にあたることが必要と考える。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.61.6_324