適切な外科的介入のタイミングにて救命できた人喰いバクテリアによる壊死性筋膜炎の1例

症例は30代の女性。既往歴は帯状疱疹。突然の発熱と全身痛が出現し, 右腋窩痛が増悪したため近医を受診し, その後精査治療目的に当院ERを紹介受診した。来院時, 高熱以外のバイタルサインは異常なかった。緊急CT検査では右腋窩の脂肪織濃度上昇を認め, 右腋窩リンパ節炎の診断で同日緊急入院した。入院後数日間は右腋窩痛は不変のままで, 第4病日に突然ショックとなった。さらに, 入院後の血液培養からStreptococcus pyogenesが同定され, 同菌による右腋窩の壊死性筋膜炎および敗血症性ショックと診断し, ショックに対する集中治療の開始とともに, 緊急デブリードマンを行った。術翌々日, 局所...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 43; no. 2; pp. 58 - 62
Main Authors 清水, 敬樹, 三宅, 康史, 佐藤, 裕一, 鈴木, 大聡, 金子, 仁, 松吉, 健夫, 山村, 恭一, 小山, 知秀, 三森, 薫, 光銭, 大裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 31.03.2022
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.43.2_58

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Summary:症例は30代の女性。既往歴は帯状疱疹。突然の発熱と全身痛が出現し, 右腋窩痛が増悪したため近医を受診し, その後精査治療目的に当院ERを紹介受診した。来院時, 高熱以外のバイタルサインは異常なかった。緊急CT検査では右腋窩の脂肪織濃度上昇を認め, 右腋窩リンパ節炎の診断で同日緊急入院した。入院後数日間は右腋窩痛は不変のままで, 第4病日に突然ショックとなった。さらに, 入院後の血液培養からStreptococcus pyogenesが同定され, 同菌による右腋窩の壊死性筋膜炎および敗血症性ショックと診断し, ショックに対する集中治療の開始とともに, 緊急デブリードマンを行った。術翌々日, 局所の発赤拡大を認めたため, 2回目の緊急デブリードマンを行った。以後も循環動態は改善せず, 局所所見の悪化を認める度に3回目, 4回目の緊急デブリードマンを行った。4回目の手術以降, 循環動態は改善し, 第17病日に昇圧剤中止および人工呼吸器離脱, 第30病日に自宅退院となった。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.43.2_58