ARDSの人工呼吸管理とその方向性について考える
ARDSにおける肺傷害のメカニズムには,①人工呼吸器を使用すること自体が肺傷害を悪化させる人工呼吸器関連肺傷害(ventilator-associated lung injury, VALI)や,②強い吸気努力が肺傷害を悪化させる自発呼吸誘発性肺傷害がある。VALIを防ぐために,低1回換気量と低いプラトー圧,PEEP付加を柱とする肺保護換気戦略が行われてきた。しかし,患者ごとに病態が不均一であるにもかかわらず画一的な治療を行ってきたため,過去20年間にわたりARDSの院内死亡率が改善しなかった可能性がある。ARDSの死亡率を低下させるためには,治療介入に効果のあるサブグループ/表現型を検出する...
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Published in | 日本集中治療医学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 469 - 476 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本集中治療医学会
01.09.2024
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ISSN | 1340-7988 1882-966X |
DOI | 10.3918/jsicm.31_469 |
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Summary: | ARDSにおける肺傷害のメカニズムには,①人工呼吸器を使用すること自体が肺傷害を悪化させる人工呼吸器関連肺傷害(ventilator-associated lung injury, VALI)や,②強い吸気努力が肺傷害を悪化させる自発呼吸誘発性肺傷害がある。VALIを防ぐために,低1回換気量と低いプラトー圧,PEEP付加を柱とする肺保護換気戦略が行われてきた。しかし,患者ごとに病態が不均一であるにもかかわらず画一的な治療を行ってきたため,過去20年間にわたりARDSの院内死亡率が改善しなかった可能性がある。ARDSの死亡率を低下させるためには,治療介入に効果のあるサブグループ/表現型を検出することにより,人工呼吸理戦略を「画一的治療」から「個別化治療」へと発展させる必要がある。 |
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ISSN: | 1340-7988 1882-966X |
DOI: | 10.3918/jsicm.31_469 |