熱中症の合併が疑われた蘇生後脳症患者の1例

血清神経特異エノラーゼ値は蘇生後脳症の神経学的予後を予測する指標の一つである。今回, 血清NSE高値であったが良好な転帰を辿った1例を経験した。症例は43歳, 男性。暑熱環境下で卒倒し, bystanderの市民による一次救命処置により心拍再開した。救急隊接触時, 腋窩温38.8℃と高体温であり, 熱中症の合併を疑われ, 体表冷却されながら搬送された。当院到着時, GCS E1V1M2と意識障害を呈した。二次性脳損傷予防目的に目標体温34℃の体温管理療法を導入し, 第28病日にはGCS E4V4M6まで改善した。入室43時間後に測定した血清NSE値は47ng/mLであった。血清NSE値 33n...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 43; no. 2; pp. 55 - 57
Main Authors 栗原, 智宏, 太田, 慧, 多賀, 匠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 31.03.2022
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.43.2_55

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Summary:血清神経特異エノラーゼ値は蘇生後脳症の神経学的予後を予測する指標の一つである。今回, 血清NSE高値であったが良好な転帰を辿った1例を経験した。症例は43歳, 男性。暑熱環境下で卒倒し, bystanderの市民による一次救命処置により心拍再開した。救急隊接触時, 腋窩温38.8℃と高体温であり, 熱中症の合併を疑われ, 体表冷却されながら搬送された。当院到着時, GCS E1V1M2と意識障害を呈した。二次性脳損傷予防目的に目標体温34℃の体温管理療法を導入し, 第28病日にはGCS E4V4M6まで改善した。入室43時間後に測定した血清NSE値は47ng/mLであった。血清NSE値 33ng/mL以上は神経学的予後が不良とされるが, 本症例は良好であった。その要因として, 熱中症の合併が血清NSE値に影響を与えた可能性が考えられる。熱中症を合併した蘇生後脳症症例においては血清NSE値の解釈に注意が必要である。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.43.2_55