亜急性甲状腺炎との鑑別が困難であった橋本病急性増悪の1例

橋本病急性増悪は,橋本病に急性炎症症状を伴う稀な疾患である。今回,亜急性甲状腺炎と鑑別が困難であった橋本病急性増悪の1例を経験したので報告する。症例は14歳,女性。2年前に学校検診で橋本病と診断された。1年10カ月前に甲状腺腫大増悪,頸部右側の圧痛を認めた。血液検査所見では,甲状腺機能正常であり,抗Tg抗体277IU/mL,抗TPO抗体246IU/mLと高値であった。白血球,CRPは正常値であり,赤沈の軽度亢進を認めた。亜急性甲状腺炎もしくは橋本病急性増悪が疑われ,NSAIDsが投与された。しかし,頸部疼痛が改善せずprednisolone(PSL)投与が開始された。治療中,疼痛部位は移動した...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 204 - 207
Main Authors 青山, 万理子, 滝沢, 宏光, 坪井, 光弘, 丹黒, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.3_204

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Summary:橋本病急性増悪は,橋本病に急性炎症症状を伴う稀な疾患である。今回,亜急性甲状腺炎と鑑別が困難であった橋本病急性増悪の1例を経験したので報告する。症例は14歳,女性。2年前に学校検診で橋本病と診断された。1年10カ月前に甲状腺腫大増悪,頸部右側の圧痛を認めた。血液検査所見では,甲状腺機能正常であり,抗Tg抗体277IU/mL,抗TPO抗体246IU/mLと高値であった。白血球,CRPは正常値であり,赤沈の軽度亢進を認めた。亜急性甲状腺炎もしくは橋本病急性増悪が疑われ,NSAIDsが投与された。しかし,頸部疼痛が改善せずprednisolone(PSL)投与が開始された。治療中,疼痛部位は移動した。また,血液検査所見で自己抗体値が低下したため,亜急性甲状腺炎の可能性も否定できなかった。PSL投与後,症状は軽減したが,PSL漸減で疼痛が再燃し,PSL中止が困難であった。再燃を繰り返すことから橋本病急性増悪と診断した。PSLの離脱困難なため手術の方針となり,甲状腺全摘を行った。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.3_204