副甲状腺癌の1手術例

症例は69歳男性。前医で高Ca血症(12.8mg/dl),intact-PTH(266pg/ml)高値を指摘され,精査加療目的に当科を紹介受診した。自覚症状は認めなかったが,頸部超音波検査で甲状腺左葉下極の尾側に17.3×13.5×10.7mm大の腫瘤を認め,MIBIシンチグラフィでは後期相で同部位に一致したMIBI集積を認めたため,左下副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症と診断した。無症候例ではあったが手術希望があり,左上下副甲状腺摘出術を施行した。術中迅速病理組織診断では,異型性が強く癌が疑われた。肉眼的には甲状腺への明らかな浸潤はなかったため甲状腺の合併切除は行わず,頸部リンパ節郭...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 29; no. 3; pp. 242 - 245
Main Authors 澁谷, 祐一, 大石, 一行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2012
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.29.3_242

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Summary:症例は69歳男性。前医で高Ca血症(12.8mg/dl),intact-PTH(266pg/ml)高値を指摘され,精査加療目的に当科を紹介受診した。自覚症状は認めなかったが,頸部超音波検査で甲状腺左葉下極の尾側に17.3×13.5×10.7mm大の腫瘤を認め,MIBIシンチグラフィでは後期相で同部位に一致したMIBI集積を認めたため,左下副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症と診断した。無症候例ではあったが手術希望があり,左上下副甲状腺摘出術を施行した。術中迅速病理組織診断では,異型性が強く癌が疑われた。肉眼的には甲状腺への明らかな浸潤はなかったため甲状腺の合併切除は行わず,頸部リンパ節郭清を追加し手術を終了した。術後経過は良好で術後7日目に退院した。最終病理組織診断では副甲状腺癌と診断され,現在フォローアップ中である。副甲状腺癌は比較的稀な症例であり,文献的考察を含めて報告する。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.29.3_242