当院で経験した耳下腺における乳腺相似分泌癌の3例

2017年に唾液腺腫瘍WHO分類が改訂され,乳腺相似分泌癌(Mammary analogue secretory carcinoma: MASC)が初めて分類されるようになった。今回,耳下腺腫瘍摘出術施行後にMASCと診断された3症例を経験したので報告する。症例1は30歳の男性,症例2は43歳の女性,症例3は39歳の男性である。いずれも術前の細胞診では悪性所見は認められず,採取検体からの遺伝子染色体解析の結果,MASCの診断となった。今回の3症例からMASCの病理学的特徴や臨床的特徴について,過去の報告例も踏まえて考察を行った。治療は手術が第一選択になることは変わりないが,MASCの染色体転座...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 65; no. 6; pp. 251 - 257
Main Authors 長岡, 真人, 岡田, 晋一, 伊藤, 友祐, 小林, 俊樹, 福田, 伸樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.2022
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.65.6_251

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Summary:2017年に唾液腺腫瘍WHO分類が改訂され,乳腺相似分泌癌(Mammary analogue secretory carcinoma: MASC)が初めて分類されるようになった。今回,耳下腺腫瘍摘出術施行後にMASCと診断された3症例を経験したので報告する。症例1は30歳の男性,症例2は43歳の女性,症例3は39歳の男性である。いずれも術前の細胞診では悪性所見は認められず,採取検体からの遺伝子染色体解析の結果,MASCの診断となった。今回の3症例からMASCの病理学的特徴や臨床的特徴について,過去の報告例も踏まえて考察を行った。治療は手術が第一選択になることは変わりないが,MASCの染色体転座をターゲットとした分子標的薬の実用化の報告もあり,手術以外の治療に関しての選択肢となり得る可能性がある。MASCに対する知見を広めることが重要と思われる。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.65.6_251