当科で経験した石灰沈着性頸長筋腱炎の3症例

石灰沈着性頸長筋腱炎は, 急激な頸部痛, 咽頭痛, 頸部可動域制限を主訴として発症する疾患で頸長筋にハイドロキシアパタイトが沈着することによる炎症が原因とされている。 予後良好な疾患で NSAIDs などの消炎鎮痛剤で通常は1~2週間程度で症状は消失する。 しかし, 造影 CT で咽頭後壁に低吸収域を呈することから, 咽後膿瘍として治療されることが多く, 鑑別が重要となる。 今回われわれは石灰沈着性頸長筋腱炎の3症例を経験した。 1例目は咽後膿瘍と診断され治療された症例のカルテおよび画像所見を後方的に見返した結果, 石灰沈着性頸長筋腱炎の診断に至った。 2例目は石灰沈着性頸長筋腱炎を疑ったが,...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 63; no. 6; pp. 274 - 279
Main Authors 滝瀬, 由吏江, 木村, 亮平, 柏木, 隆志, 斎藤, 翔太, 今野, 渉, 春名, 眞一, 後藤, 一貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.2020
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.63.6_274

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Summary:石灰沈着性頸長筋腱炎は, 急激な頸部痛, 咽頭痛, 頸部可動域制限を主訴として発症する疾患で頸長筋にハイドロキシアパタイトが沈着することによる炎症が原因とされている。 予後良好な疾患で NSAIDs などの消炎鎮痛剤で通常は1~2週間程度で症状は消失する。 しかし, 造影 CT で咽頭後壁に低吸収域を呈することから, 咽後膿瘍として治療されることが多く, 鑑別が重要となる。 今回われわれは石灰沈着性頸長筋腱炎の3症例を経験した。 1例目は咽後膿瘍と診断され治療された症例のカルテおよび画像所見を後方的に見返した結果, 石灰沈着性頸長筋腱炎の診断に至った。 2例目は石灰沈着性頸長筋腱炎を疑ったが, 咽後膿瘍を否定できなかったため, 咽頭後壁を穿刺した後入院とし抗菌薬を投与した。 3例目は初診時より石灰沈着性頸長筋腱炎と診断し, 外来通院で非ステロイド性抗炎症薬の投与のみで改善した。 本疾患の特徴的な所見に注意し, 鑑別することができれば侵襲的な処置を回避できることが示唆された。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.63.6_274