津波による海岸林の倒伏発生要因と根系を中心とした育成目標
東日本大震災で発生した津波が襲来した海岸林のなかには,主要構成樹種であるアカマツとクロマツ(以下,マツ類)の残存木と倒伏木が混在している地区が確認された。この海岸林を対象として,残存または倒伏したマツ類の各生育環境および樹木形状を調べ比較することで津波による倒伏要因を明らかにした。さらに本海岸林で発生した規模の津波に対する減災効果の高い海岸林を再生するための樹木育成目標と,それを成立させる植栽環境について考察した。調査の結果,津波を受けて倒伏したマツ類は,残存したマツ類より標高が低く地下水位の浅い環境に生育し,樹高が低く幹が細い地上部と小さい根系盤を持っていた。このため本海岸林で発生した最大浸...
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Published in | 日本緑化工学会誌 Vol. 46; no. 3; pp. 316 - 328 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本緑化工学会
28.02.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0916-7439 0916-7439 |
DOI | 10.7211/jjsrt.46.316 |
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Summary: | 東日本大震災で発生した津波が襲来した海岸林のなかには,主要構成樹種であるアカマツとクロマツ(以下,マツ類)の残存木と倒伏木が混在している地区が確認された。この海岸林を対象として,残存または倒伏したマツ類の各生育環境および樹木形状を調べ比較することで津波による倒伏要因を明らかにした。さらに本海岸林で発生した規模の津波に対する減災効果の高い海岸林を再生するための樹木育成目標と,それを成立させる植栽環境について考察した。調査の結果,津波を受けて倒伏したマツ類は,残存したマツ類より標高が低く地下水位の浅い環境に生育し,樹高が低く幹が細い地上部と小さい根系盤を持っていた。このため本海岸林で発生した最大浸水高11.9m程度の津波を想定した場合,倒伏被害に強い海岸林を構成するマツ類の根系の育成目標としては,多出垂下根・二段水平根型の形態であり,根系盤体積として胸高幹周から推定する関係式(胸高幹周120cmの場合,根系盤体積12m3)を示した結果,垂下根長1.5m以上,水平根長4m以上を示した。あわせて,この根系の成長を支える地上部の形状と植栽環境についても示した。 |
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ISSN: | 0916-7439 0916-7439 |
DOI: | 10.7211/jjsrt.46.316 |