ショットピーニング処理された浸炭鋼の疲労限度に及ぼす試験片採取方向の影響

本研究では,圧延直交(TD)および圧延平行(RD)方向から素材採取したSCM420Hに対し,真空浸炭焼入れ-焼戻しおよびショットピ-ニング後に,平面曲げ疲労試験を行った.その結果,ショットピ-ニングされていない浸炭鋼の疲労限度はRD方向採取の方がTD方向採取より約32%高い結果となった.またショットピ-ニング処理された浸炭鋼の疲労限度はRD方向採取の方がTD方向採取より約41%高い結果となった.TD方向試験片の破断の多くは棒状介在物を起点として発生していた.一方,RD方向試験片の場合は,非金属介在物外からの破断であった.このことから,TD方向採取の疲労強度が低い理由は,圧延により伸長した棒状介...

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Published in砥粒加工学会誌 Vol. 68; no. 11; pp. 624 - 630
Main Authors 辻, 俊哉, 髙橋, 宏治, 藤野, 真士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 砥粒加工学会 01.11.2024
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ISSN0914-2703
1880-7534
DOI10.11420/jsat.68.624

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Summary:本研究では,圧延直交(TD)および圧延平行(RD)方向から素材採取したSCM420Hに対し,真空浸炭焼入れ-焼戻しおよびショットピ-ニング後に,平面曲げ疲労試験を行った.その結果,ショットピ-ニングされていない浸炭鋼の疲労限度はRD方向採取の方がTD方向採取より約32%高い結果となった.またショットピ-ニング処理された浸炭鋼の疲労限度はRD方向採取の方がTD方向採取より約41%高い結果となった.TD方向試験片の破断の多くは棒状介在物を起点として発生していた.一方,RD方向試験片の場合は,非金属介在物外からの破断であった.このことから,TD方向採取の疲労強度が低い理由は,圧延により伸長した棒状介在物が存在するために,最大応力方向に対する介在物投影面積が大きく,非金属介在物からの破壊が発生しやすいためである.
ISSN:0914-2703
1880-7534
DOI:10.11420/jsat.68.624