斜面安定解析への二相流解析適用に関する基礎的研究

降雨時の斜面崩壊メカニズム解明のため,様々な解析手法による研究が行われているが,降雨時の斜面の安定性評価において,間隙空気の影響を考慮したものは少ない.地盤内で空気の閉塞が発生した際,水の円滑な浸透が妨げられることや,空気圧の上昇により地盤に破壊現象が生じる恐れがある.そこで本研究では,間隙空気の影響を考慮する気液二相流解析手法を用いて,室内模型実験の再現解析を実施した.その結果,間隙空気の影響を考慮しない単相流解析に比べ,水の浸透に間隙空気の影響を評価できる点,飽和度とサクション,比透水係数の関係を容易に計算できる点から,二相流解析が降雨時の斜面安定性評価に有用である可能性を示した.また,過...

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Published in応用地質 Vol. 59; no. 5; pp. 263 - 272
Main Authors 石田, 純平, 蒋, 宇静, 杉本, 知史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本応用地質学会 10.12.2018
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ISSN0286-7737
1884-0973
DOI10.5110/jjseg.59.263

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Summary:降雨時の斜面崩壊メカニズム解明のため,様々な解析手法による研究が行われているが,降雨時の斜面の安定性評価において,間隙空気の影響を考慮したものは少ない.地盤内で空気の閉塞が発生した際,水の円滑な浸透が妨げられることや,空気圧の上昇により地盤に破壊現象が生じる恐れがある.そこで本研究では,間隙空気の影響を考慮する気液二相流解析手法を用いて,室内模型実験の再現解析を実施した.その結果,間隙空気の影響を考慮しない単相流解析に比べ,水の浸透に間隙空気の影響を評価できる点,飽和度とサクション,比透水係数の関係を容易に計算できる点から,二相流解析が降雨時の斜面安定性評価に有用である可能性を示した.また,過去に斜面災害が発生した現場の再現解析を実施し,斜面の崩壊箇所近傍で間隙水圧および間隙空気圧が増大する結果が得られたことから,これらが有効応力を減少させることが斜面の不安定化を引き起こす要因の一つとなることを示唆した.
ISSN:0286-7737
1884-0973
DOI:10.5110/jjseg.59.263