宇宙線ミュー粒子を利用した探査技術の応用地質分野への適用
本研究では,地下や大型構造物の密度構造を評価する技術として宇宙線ミュー粒子の物理探査への適用性の検討結果を紹介する.筆者らの調査対象は,地盤の空洞や原子炉の内部構造,断層破砕帯,貯水池の水位変化などで,適用した深さは数mから300m程度までである.また,宇宙線ミュー粒子の物理探査は,対象とする応用地質学的な条件によって計測時間が大きく異なるために,条件の変化に応じた計測時間の長さについて数値計算や計測事例により検討した.数値計算では,直径24.5cmの二つの検出器による同時計数法(検出器間の距離140cm)を行う際に,土被り,密度及び天頂角等に応じて必要となる計測時間について検討した.その結果...
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| Published in | 応用地質 Vol. 57; no. 6; pp. 266 - 276 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本応用地質学会
2017
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| Subjects | |
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| ISSN | 0286-7737 1884-0973 |
| DOI | 10.5110/jjseg.57.266 |
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| Summary: | 本研究では,地下や大型構造物の密度構造を評価する技術として宇宙線ミュー粒子の物理探査への適用性の検討結果を紹介する.筆者らの調査対象は,地盤の空洞や原子炉の内部構造,断層破砕帯,貯水池の水位変化などで,適用した深さは数mから300m程度までである.また,宇宙線ミュー粒子の物理探査は,対象とする応用地質学的な条件によって計測時間が大きく異なるために,条件の変化に応じた計測時間の長さについて数値計算や計測事例により検討した.数値計算では,直径24.5cmの二つの検出器による同時計数法(検出器間の距離140cm)を行う際に,土被り,密度及び天頂角等に応じて必要となる計測時間について検討した.その結果,例えば,土被り50mにおいて0.2g/cm3の密度差のある範囲が直径5mの場合,有意な計数差が確認されるまでの計測時間は,天頂角30度以内では,5日間程度であることが示された.また,全方位計数法(直径24.5cmの球体)での計測結果では,同時計数法に比べて解像度が低下するものの,土被り11mで空洞の厚さが約3mの場合,必要な計測時間は1地点あたり10分程度であることが示された. |
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| ISSN: | 0286-7737 1884-0973 |
| DOI: | 10.5110/jjseg.57.266 |