自然侵入促進工による緑化のり面に成立する植生と気候および 施工要因の関係

自然侵入促進工により成立する植生の傾向を把握するために,青森県から沖縄県までの68 地域で129 箇所の緑化のり面に成立した植生と施工後月数,気候要因,施工要因,植物群落の状況を調査した。成立した植生 を二元指標種分析により分類した結果,7 つの群落に分類され,暖温帯と冷温帯に二分された。暖温帯の降水量が少ない地域では,施工後月数が短い盛土のり面はメヒシバ群落,切土のり面はヒメムカシヨモギ群落,施工後月数が長いとヌルデ群落になるが,地山が礫土や軟岩ではアカマツ群落となった。降水量が多い地域ではアカメガシワ群落となった。冷温帯では,降水量が多く地山が壌土の場合にタニウツギ群落,降水量が少ない軟岩...

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Published in日本緑化工学会誌 Vol. 43; no. 3; pp. 484 - 498
Main Authors 飯塚, 康雄, 久保, 満佐子, 大貫, 真樹子, 舟久保, 敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緑化工学会 28.02.2018
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ISSN0916-7439
0916-7439
DOI10.7211/jjsrt.43.484

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Summary:自然侵入促進工により成立する植生の傾向を把握するために,青森県から沖縄県までの68 地域で129 箇所の緑化のり面に成立した植生と施工後月数,気候要因,施工要因,植物群落の状況を調査した。成立した植生 を二元指標種分析により分類した結果,7 つの群落に分類され,暖温帯と冷温帯に二分された。暖温帯の降水量が少ない地域では,施工後月数が短い盛土のり面はメヒシバ群落,切土のり面はヒメムカシヨモギ群落,施工後月数が長いとヌルデ群落になるが,地山が礫土や軟岩ではアカマツ群落となった。降水量が多い地域ではアカメガシワ群落となった。冷温帯では,降水量が多く地山が壌土の場合にタニウツギ群落,降水量が少ない軟岩でバッコヤナギ群落となった。出現種数と植被率は,施工後月数の経過とともに増加傾向となり,バッコヤナギ群落と一部のアカマツ群落の調査のり面では両値が低かったが,のり面の浸食は観察されなかった。施工後初期に多く出現した草本種は施工後月数の経過とともに減少傾向となるなかで,木本種は徐々に増加したことから,施工後月数の経過とともに木本の飛来種子の定着が増加して植被率も高くなり,木本群落への遷移が進んでいくと考えられた。
ISSN:0916-7439
0916-7439
DOI:10.7211/jjsrt.43.484