新聞と小説のコーパスにおけるオノマトペと動詞の共起パターン

本研究は,副詞としてのオノマトペと動詞との結びつき方の多様性と偏重性を考察するために,大規模コーパスから得られた28語のオノマトペの用例について3つの仮説を検討した。第1に,使用域の違いを検討するために新聞と小説の両コーパスを比較した結果,新聞より小説において共起パターンが多様であることが示された。第2に,オノマトペ自体の多義性がオノマトペと動詞の共起パターンの多様性と偏重性に影響するかどうか検討した結果,新聞のコーパスにおいて多義性の影響が認められた。小説では作家が多様な動詞とオノマトペを自由に組み合わせるので,その共起パターンは辞書における意味の数に影響されにくいのだと解釈できる。第3に,...

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Bibliographic Details
Published in言語研究 Vol. 139; pp. 57 - 84
Main Authors 木山, 幸子, 宮岡, 弥生, 玉岡, 賀津雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本言語学会 2011
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ISSN0024-3914
2185-6710
DOI10.11435/gengo.139.0_57

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Summary:本研究は,副詞としてのオノマトペと動詞との結びつき方の多様性と偏重性を考察するために,大規模コーパスから得られた28語のオノマトペの用例について3つの仮説を検討した。第1に,使用域の違いを検討するために新聞と小説の両コーパスを比較した結果,新聞より小説において共起パターンが多様であることが示された。第2に,オノマトペ自体の多義性がオノマトペと動詞の共起パターンの多様性と偏重性に影響するかどうか検討した結果,新聞のコーパスにおいて多義性の影響が認められた。小説では作家が多様な動詞とオノマトペを自由に組み合わせるので,その共起パターンは辞書における意味の数に影響されにくいのだと解釈できる。第3に,個々のオノマトペが動詞との共起においてどのようなグループをなすかを検討した。以上のように,多様性と偏重性の両観点から見出されたパターンに基づいてオノマトペと動詞の共起パターンの特徴を考察し,人間の感情や感覚を表すオノマトペは特定の動詞との結びつきが強い可能性があることを示した。
ISSN:0024-3914
2185-6710
DOI:10.11435/gengo.139.0_57