我が国における不快性射乳反射(D-MER)に関する実態調査

不快性射乳反射(D-MER;Dysphoric milk ejection reflex)とは、授乳中の母親の射乳反射の直前に現れる不快感であると周知されるようになっている。しかし、本邦をはじめ国際的にもD-MERに関する研究報告は少なく、その現状が明らかになっていないため、D-MERに関する実態調査に取り組んだ。 本調査結果では、D-MERの発症率は1.6%であり、不快感自覚時期では、“産後1週間以内”、“産後1か月以内”が多く、射乳に伴う不快感を感じるタイミングでは“乳汁分泌直前”、“乳汁分泌直後”、“直接母乳中”と時期は様々であった。不快感は1〜2分持続する者が最も多く、D-MERを自覚...

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Published in日本母性看護学会誌 Vol. 25; no. 2; pp. 1 - 7
Main Authors 立岡, 弓子, 北岡, 奈桜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本母性看護学会 24.03.2025
Japan Society of Maternity Nursing
Subjects
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ISSN1345-773X
2434-6187
DOI10.32305/jjsmn.25.2_1

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Summary:不快性射乳反射(D-MER;Dysphoric milk ejection reflex)とは、授乳中の母親の射乳反射の直前に現れる不快感であると周知されるようになっている。しかし、本邦をはじめ国際的にもD-MERに関する研究報告は少なく、その現状が明らかになっていないため、D-MERに関する実態調査に取り組んだ。 本調査結果では、D-MERの発症率は1.6%であり、不快感自覚時期では、“産後1週間以内”、“産後1か月以内”が多く、射乳に伴う不快感を感じるタイミングでは“乳汁分泌直前”、“乳汁分泌直後”、“直接母乳中”と時期は様々であった。不快感は1〜2分持続する者が最も多く、D-MERを自覚する母親の半数で母乳栄養を中断していた。D-MERを自覚する母親の特徴として、BMIが低い者でD-MERの不快感が強い傾向を示していた。また、D-MERを自覚して悩む母親では、半数が誰にも相談していないことも明らかとなった。 D-MERは、ホルモン動態の関与が推察されながらもその根拠が解明されていないこと、適切な支援を受けられていないままであることが課題である。
ISSN:1345-773X
2434-6187
DOI:10.32305/jjsmn.25.2_1