甲状腺内に発生した異所性上皮小体腺腫

• Published in: 耳鼻と臨床 Vol. 52; no. 1; pp. 60 - 67
• Main Authors: 坂本, 菊男, 中島, 格, 広松, 雄治, 宮嶋, 義巳, 小林, 究
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 耳鼻と臨床会 20.01.2006
• Subjects: 99mTc-MIBIシンチ検査; 原発性上皮小体機能充進症; 異所性上皮小体腺腫; 重複腺腫; 頸部エコー検査
• ISSN: 0447-7227; 2185-1034
• DOI: 10.11334/jibi1954.52.1_60

甲状腺内に発生した異所性上皮小体腺腫の重複例を経験したので報告した。本症例は血清Ca、intact PTHの高値を認め、頸部エコー検査と頸部CT検査で甲状腺右葉の背側にφ15×10mm大の腫瘍を認め、99mTc-MIBIシンチ検査で右上上皮小体部分に集積を認めた。外科的切除を施行し一腺のみを摘出したところ、術後に再び血清Ca、intact PTHの高値を認めた。再び99mTC-MIBIシンチ検査を施行し甲状腺右葉に集積を認めた。甲状腺右葉切除術、上皮小体全摘出術を施行し、速やかに血清CaとintactPTHは低下した。病理組織の結果は重複腺腫であった。1996-2004年に手術を行った上皮小体機能充進症例50例について検討した。原発性は24例、二次性は26例であった。原発性上皮小体機能充進症24例のうち異所性は甲状腺内2例 (8.3%) で、組織型はadenomaが18例でhyperplasiaが6例であった。術前画像検査による病的上皮小体の位置を正確に診断できた正診率は頸部エコー検査が92%と最も高く、以下99mTC-MIBIシンチ検査91%、頸部MRI検査90%、201Tl-99mTcO4シンチ検査83%、頸部CT検査78%の順であった。