十二指腸乳頭部癌に対する亜全胃温存膵頭十二指腸切除後残膵癌の1例

十二指腸乳頭部癌に対する亜全胃温存膵頭十二指腸切除後6年目に診断された残膵癌に対して残膵全摘を行った1例を報告する.症例は69歳の男性で,6年前に十二指腸乳頭部癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を行い,中分化型管状腺癌,stage IIIであった.術後定期検査のCTで残膵体部に2cm大の低濃度腫瘤を認め,残膵体部癌の診断で残膵全摘を行った.組織学的には中分化管状腺癌であったが,第1癌切除から第2癌発見まで6年経過していること,膵管空腸粘膜吻合部から離れた部位に病変を認めたこと,腫瘍より尾側膵の非癌部に閉塞性膵炎がみられたこと,病理組織学的検査所見ではMUC5ACの発現形式が異なっていたこと...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 3; pp. 312 - 318
Main Authors 大森, 一郎, 池田, 聡, 西阪, 隆, 中原, 英樹, 秋本, 悦志, 漆原, 貴, 眞次, 康弘, 板本, 敏行, 柳川, 泉一郎, 小橋, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.312

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Summary:十二指腸乳頭部癌に対する亜全胃温存膵頭十二指腸切除後6年目に診断された残膵癌に対して残膵全摘を行った1例を報告する.症例は69歳の男性で,6年前に十二指腸乳頭部癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を行い,中分化型管状腺癌,stage IIIであった.術後定期検査のCTで残膵体部に2cm大の低濃度腫瘤を認め,残膵体部癌の診断で残膵全摘を行った.組織学的には中分化管状腺癌であったが,第1癌切除から第2癌発見まで6年経過していること,膵管空腸粘膜吻合部から離れた部位に病変を認めたこと,腫瘍より尾側膵の非癌部に閉塞性膵炎がみられたこと,病理組織学的検査所見ではMUC5ACの発現形式が異なっていたことから転移ではなく重複癌の可能性が高いと診断した.膵頭十二指腸切除後の異時性残膵癌はまれだが,自験例を含めた本邦報告例6例中5例は術後5年以上経過した後に発症しており長期間の経過観察が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.312