視力予後不良と考えられたOnodi蜂巣に病変を伴う鼻性視神経症に対して,内視鏡下鼻副鼻腔手術を行い視力回復が得られた2症例

鼻性視神経症は鼻性眼窩内合併症に含まれる概念であり,副鼻腔炎や,副鼻腔嚢胞による視神経の圧迫といった副鼻腔病変が原因となって,視力障害を生じたものとされているが一定の定義はない.診断にはCTやMRIなどの画像検査が必要であり,視神経の走行と副鼻腔病変の解剖学的位置関係を把握することが重要で,中でもOnodi蜂巣は鼻性視神経症の関連について報告が多く,意識的に画像を評価する必要がある.治療は手術が基本であり,緊急手術の適応となるが,治療介入のタイミングによっては予後不良となる症例がある.ステロイドの使用に関しては一定の見解は得られていないが,糖尿病や真菌症の場合など一部の症例を除いて投与が推奨さ...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 67; no. 1; pp. 36 - 40
Main Authors 弦本, 惟郎, 小林, 俊樹, 宮澤, 渉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.02.2024
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.67.1_36

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Summary:鼻性視神経症は鼻性眼窩内合併症に含まれる概念であり,副鼻腔炎や,副鼻腔嚢胞による視神経の圧迫といった副鼻腔病変が原因となって,視力障害を生じたものとされているが一定の定義はない.診断にはCTやMRIなどの画像検査が必要であり,視神経の走行と副鼻腔病変の解剖学的位置関係を把握することが重要で,中でもOnodi蜂巣は鼻性視神経症の関連について報告が多く,意識的に画像を評価する必要がある.治療は手術が基本であり,緊急手術の適応となるが,治療介入のタイミングによっては予後不良となる症例がある.ステロイドの使用に関しては一定の見解は得られていないが,糖尿病や真菌症の場合など一部の症例を除いて投与が推奨されている.今回,一例は発症3日目の比較的早期,もう一例は発症15日目と時間が経過しており,視力予後が不良と考えられた鼻性視神経症に対して,内視鏡下鼻副鼻腔手術を行い視力回復が得られた2症例を報告する.
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.67.1_36