血胸を随伴した出血性肺梗塞の1例

背景:肺梗塞は,主に末梢に限局した肺血栓塞栓症に伴って発生する血流障害であるが,出血性肺梗塞が原因で血胸を生じることは稀である.症例:49歳女性.子宮筋腫で近医通院中に右胸痛が出現し,2週間後に発熱,咳嗽および胸水が出現したため,当院を紹介受診した.胸部CTで右胸水貯留と右肺下葉に造影効果に乏しい結節影を認めた.胸腔穿刺で出血と血腫の貯留が疑われ,胸腔鏡下血腫除去術を実施した.胸腔内は血腫で充満していたが活動性出血は見られなかった.右肺下葉に白色の結節を視認し,責任病巣と考えて肺部分切除を実施した.同病変は病理組織学的に出血性肺梗塞と診断された.術後に血栓の原因検索を試みたが異常は見られなかっ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 7; pp. 602 - 607
Main Authors 山口, 雅利, 羽藤, 泰, 吉川, 公基, 福田, 祐樹, 中山, 光男, 河野, 光智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.11.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.602

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Summary:背景:肺梗塞は,主に末梢に限局した肺血栓塞栓症に伴って発生する血流障害であるが,出血性肺梗塞が原因で血胸を生じることは稀である.症例:49歳女性.子宮筋腫で近医通院中に右胸痛が出現し,2週間後に発熱,咳嗽および胸水が出現したため,当院を紹介受診した.胸部CTで右胸水貯留と右肺下葉に造影効果に乏しい結節影を認めた.胸腔穿刺で出血と血腫の貯留が疑われ,胸腔鏡下血腫除去術を実施した.胸腔内は血腫で充満していたが活動性出血は見られなかった.右肺下葉に白色の結節を視認し,責任病巣と考えて肺部分切除を実施した.同病変は病理組織学的に出血性肺梗塞と診断された.術後に血栓の原因検索を試みたが異常は見られなかった.慎重に外来経過観察したが,肺梗塞の再燃は見られていない.結論:血胸を伴った肺梗塞は典型的なCT所見はとらないことがあるため診断が難しい.肺梗塞が原因で臓側胸膜が破綻することは稀ではあるが,注意すべき病態である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.602