老人保健施設入所歯科患者における痴呆の有無と歯科受療に必要な能力との関係について

岐阜県下にある老人保健施設からの紹介患者106名を対象として, 歯科診療を受けるために必要な能力を調査し, 痴呆との関係について検討した.対象者を痴呆群と非痴呆群に分類し, 口腔清掃能力, 診療に必要な簡単な行為に関する能力および患者や歯科スタッフの安全に関する項目について比較検討した. その結果, 口腔清掃能力や主訴の表現能力において痴呆群で大きな能力低下を認めた.これに反して, 診療に必要な簡単な行為を行う能力では痴呆群でも80%以上の人に能力があることがわかった. 他方, 患者や歯科スタッフの安全に関する項目では痴呆群の約90%の患者に問題のないことが明かとなった. これらの結果から,...

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Published in老年歯科医学 Vol. 15; no. 3; pp. 293 - 297
Main Authors 久保, 金弥, 伊藤, 正樹, 岩久, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.03.2001
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg1987.15.293

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Summary:岐阜県下にある老人保健施設からの紹介患者106名を対象として, 歯科診療を受けるために必要な能力を調査し, 痴呆との関係について検討した.対象者を痴呆群と非痴呆群に分類し, 口腔清掃能力, 診療に必要な簡単な行為に関する能力および患者や歯科スタッフの安全に関する項目について比較検討した. その結果, 口腔清掃能力や主訴の表現能力において痴呆群で大きな能力低下を認めた.これに反して, 診療に必要な簡単な行為を行う能力では痴呆群でも80%以上の人に能力があることがわかった. 他方, 患者や歯科スタッフの安全に関する項目では痴呆群の約90%の患者に問題のないことが明かとなった. これらの結果から, 痴呆に対する十分な知識を有していれば痴呆患者でも80%の患者に歯科診療可能であることが示唆された.
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg1987.15.293