Paclitaxelと放射線外照射により症状緩和を得た甲状腺未分化癌の1例

症例は84歳女性。2001年甲状腺乳頭癌に対して左葉切除術を施行した。その後2009年2月に局所再発,気管浸潤,上縦隔リンパ節転移,肺転移を認め,残存甲状腺全摘術,喉頭全摘術を施行した。2010年12月気管孔右側の膨隆と呼吸困難を認めたため当科を受診し,穿刺吸引細胞診で未分化癌と診断された。気管チューブを挿入し気道を確保したが腫瘤の増大傾向が早いためPaclitaxelと放射線外照射による放射線化学療法を施行した。その後頸部腫瘤は縮小し気道確保,経口摂取可能となるなど著明な症状緩和を得た。Weekly Paclitaxel 1コースを追加したが,肝転移が出現し,追加治療は希望されず6月に原病死...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 31; no. 1; pp. 69 - 73
Main Authors 澁谷, 祐一, 大石, 一行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2014
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.31.1_69

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Summary:症例は84歳女性。2001年甲状腺乳頭癌に対して左葉切除術を施行した。その後2009年2月に局所再発,気管浸潤,上縦隔リンパ節転移,肺転移を認め,残存甲状腺全摘術,喉頭全摘術を施行した。2010年12月気管孔右側の膨隆と呼吸困難を認めたため当科を受診し,穿刺吸引細胞診で未分化癌と診断された。気管チューブを挿入し気道を確保したが腫瘤の増大傾向が早いためPaclitaxelと放射線外照射による放射線化学療法を施行した。その後頸部腫瘤は縮小し気道確保,経口摂取可能となるなど著明な症状緩和を得た。Weekly Paclitaxel 1コースを追加したが,肝転移が出現し,追加治療は希望されず6月に原病死した。甲状腺未分化癌は治療抵抗性で,集学的治療によっても症状緩和が困難であることが多い。今回放射線化学療法により症状緩和を得た1例を経験したので報告する。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.31.1_69