右上葉切除術後,肺捻転なしに中葉肺うっ血を来した1例

症例は78歳女性.右上葉肺癌(cT1aN2M0,StageIIIA)に対し右上葉切除,ND2a-2リンパ節郭清を行った.術後第1病日の胸部X線にて右上肺野の透過性低下,CTでは中葉S5の無気肺と思われるconsolidationと中葉気管支末梢の狭窄所見を認めたが,明らかな中葉捻転の所見に乏しく保存的加療とした.しかし術後第3病日に38℃台の発熱,および胸部CTでconsolidationの増強を認め,臨時手術を行う方針にした.術中所見では右中葉の大部分がうっ血を来していたが,中葉捻転の所見は認めず,中葉静脈は問題となる所見はなかった.肺壊死の可能性があり中葉は温存不可能と判断し残存中葉切除を...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 526 - 531
Main Authors 佐藤, 開仁, 松井, 雄介, 鈴木, 潤, 塩野, 知志, 捧, 貴幸, 渡辺, 光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.09.2024
Subjects
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.526

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Summary:症例は78歳女性.右上葉肺癌(cT1aN2M0,StageIIIA)に対し右上葉切除,ND2a-2リンパ節郭清を行った.術後第1病日の胸部X線にて右上肺野の透過性低下,CTでは中葉S5の無気肺と思われるconsolidationと中葉気管支末梢の狭窄所見を認めたが,明らかな中葉捻転の所見に乏しく保存的加療とした.しかし術後第3病日に38℃台の発熱,および胸部CTでconsolidationの増強を認め,臨時手術を行う方針にした.術中所見では右中葉の大部分がうっ血を来していたが,中葉捻転の所見は認めず,中葉静脈は問題となる所見はなかった.肺壊死の可能性があり中葉は温存不可能と判断し残存中葉切除を行った.再手術後は臨床症状,血液検査ともに速やかに改善した.肺うっ血を来す術後合併症として肺捻転症は知られているが,捻転を起こさずに肺うっ血を来す場合もあることに留意する必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.526