食餌性因子を一定にした時の血清脂質値について

血清脂質に影響を与える最も大きな因子が食餌であることはいうまでもない. 年齢, 疾患およびその stage を限局した165人において, 蛋白質のみ80gに維持し, カロリーを1000とする療法, すなわち糖質および脂質の影響がほとんどないと考えられる食餌療法を4週間行った結果から血清中性脂肪および血清コレステロールの basal lipid level の決定を試みた. この basal lipid level は治療の対象あるいは効果の1つの判定基準とされる値である. このレベルを基準にリポ蛋白代謝の面かち食餌による血清脂質の反応を検討すると共に, 食餌療法に反応しないいわゆる内因性因子に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in動脈硬化 Vol. 4; no. 3; pp. 307 - 318
Main Author 仮屋, 純人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本動脈硬化学会 01.10.1976
Online AccessGet full text
ISSN0386-2682
2185-8284
DOI10.5551/jat1973.4.3_307

Cover

More Information
Summary:血清脂質に影響を与える最も大きな因子が食餌であることはいうまでもない. 年齢, 疾患およびその stage を限局した165人において, 蛋白質のみ80gに維持し, カロリーを1000とする療法, すなわち糖質および脂質の影響がほとんどないと考えられる食餌療法を4週間行った結果から血清中性脂肪および血清コレステロールの basal lipid level の決定を試みた. この basal lipid level は治療の対象あるいは効果の1つの判定基準とされる値である. このレベルを基準にリポ蛋白代謝の面かち食餌による血清脂質の反応を検討すると共に, 食餌療法に反応しないいわゆる内因性因子によって生じていると考えられる高脂血症の成因について若干の考案をした. 血清中性脂肪の basal lipid level は90.3±27.1mg/dlであった. 高中性脂肪血症は約90%が calory dependent hypertriglyceridgmia であり, 残りは超低比重リポ蛋白の中性脂肪の異化障害が考えられた. 食餌療法4週後, 血清中性脂肪値がさらに増加し, basal lipid level の上限以上になる例は, 全例の体重変化と比べ減少が緩慢であり中性脂肪の唯一の前駆物質である脂肪酸の貯蔵組織からの放出機序にその要因がある事が示唆された. 血清コレステロールの basal lipid level は165.6±26.5mg/dlであった. calory dependent hypercholesterolemia を除いた高コレステロール血症は低比重リポ蛋白の異化過程の障害と考えられる.
ISSN:0386-2682
2185-8284
DOI:10.5551/jat1973.4.3_307